第15章 shine of the palm
❁❁❁ 小鳥遊音晴 side ❁❁❁
大和くんも楽しい事を思いついたものだ。
日頃はレッスン場で歌やダンスの練習の合間に、気分転換にって、万理くんを誘ってハンカチ落としやフルーツバスケットをしてるし。
それに僕も混ぜてくれて、みんなでワイワイして遊ぶのは、僕も楽しい。
けど今回のは、いつもとちょっと志向が違って愛聖さんに見えない状態で近くにいる人を当てる・・・っていうゲーム?をしてるんだけど。
果たして僕だって、ちゃんと分かるかな?
そう考えると、いまこうして愛聖さんが僕に触れたりして考える様子を見てるのは、ワクワクしちゃうよ。
こんなの八乙女が知ったら、きっと眉間に深ーい皺を刻んで怒るんだろうなぁ。
くだらん事をするな!とかね?
『あ、この香りは社長ですね?服からは何となく二階堂さんっぽい感じの香りがしますけど、でもこの感じは社長の香りです』
「正解!って喜ぶべきなのか、それとも悲しむべきなのか・・・ちょっと複雑な気持ちがするのはなぜだろう」
僕ってすぐ分かっちゃう香りって、なに?!
もしかして僕・・・年齢的にとかいう、アレ?!
例えていえば、年頃の女の子がお父さんイヤ!とか言っちゃうような?!
・・・なんだろ、急に悲しくなってきた。
『社長は私がお仕事ある時いつも側にいて下さるし、社長って凄く落ち着く香りがするんです。それも2パターンありますよね?』
「えっ?そんな事まで気付いてたの?」
『ひとつはとても柔らかな香りで、もうひとつはシンプルながらも大人っぽい香りです。今日は後者の香りがしますから』
愛聖さんの言う通り、僕は2つの香りを使い分けている。
ひとつは、結が僕に初めてプレゼントしてくれた物で。
もうひとつは、その結自身が好んで使っていた香り。
今日は大和くんの仕事に同行していたし、いろいろと打ち合わせがあったから、仕事が上手く纏まるようにって結がくれた物をつけていたんだ。
それを落ち着く香りだって言ってくれるんだね、キミは。
「因みに、もし僕が八乙女だとしても分かっちゃう感じ?」
『八乙女社長は多分、割と早く分かるかも、とか。あのオーラで・・・』
何となく言った事に返された返事に笑ってしまう。
八乙女のオーラ、か。
うん・・・それは僕も、分かっちゃう気がする。
