第15章 shine of the palm
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
壮五が嬉しそうな照れを見せるとか、やっぱり過去を打ち明けて気持ちが軽くなったった事なんだな。
一織もホントはかわいい物が好きだって言っちまえば、素直さが伝わるって言うのにな。
チラリと一織を見れば、オレの視線に気付いたのかほんの少しニコリと微笑み返してくる。
あの感じをみんなの前でも出せばいいのによ。
『うん、三月さんです』
「お前ほんっとに凄いな、正解だよ」
考え事をしている間に何となく肩周りを触られてると思ってたら、もう答えかよ?!
「なんでオレって分かったんだ?」
ガシガシと髪を混ぜながら聞けば、愛聖も前髪を指先でくるくるとしながら笑う。
『肩の位置とかで、三月さんだって』
「おい・・・それってオレが小柄だとか言うんじゃねぇよな?」
『違いますよ?時々キッチンで隣に並ぶ時の身長差感覚とかも合わせて、三月さんだって思って』
言われてみれば、休みの日の愛聖は調理こそ危なっかしくて頼めないけど、使ってる器具や皿なんかを率先して洗ってくれてんだよな。
・・・オレの隣で。
背の違いとかも、オレより少し小さいだけだから・・・って、おい?
それってやっぱり、他のヤツらと比べたらわかりやすいって事か?!
「愛聖・・・オレは子供の頃からしこたま牛乳飲んでも効果がなかっただけだ!オレが飲んだ牛乳の分まで一織が吸収したからだぞ!」
『え、あ、はい・・・よく分からないけど、分かりました』
愛聖の肩を掴んでグラグラと揺すりながら言えば、それを見た大和さんがゲラゲラ笑ってオレを見る。
大「ミツの胃袋はイチと繋がってんのか?」
「うっせー黙れ!兄弟揃って牛乳飲んでも一織しか効果なかったんだよ!」
フン!と鼻を鳴らして腕まで組めば、目の前でクスクスと愛聖が笑う。
「お前も笑うな!」
『うきゃっ?!・・・三月さん、鼻取れちゃう!』
鼻先をムニッと摘めば、驚いて体を引いた愛聖が鼻を押さえる。
『正解したのにご褒美じゃなく鼻つまみとか』
「ご褒美?あー、はいはい。ヨシヨシ・・・って、ハハッ・・・」
わさと子ども扱いしてやろうとすれば、なんか、アレだ。
コッチが照れるっつうか。
自分で作り出した微妙な空気に耐えきれず、また髪をガシガシと掻き混ぜた。