第15章 shine of the palm
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
目の前で起きている事に、緊張感が高まって行く。
僕はなぜ、このゲームに参加してしまっているんだろう。
本来ならば、女性に目隠しを・・・だなんて止めるべきだったんじゃないだろうか。
大「ンンッ・・・」
大和さんが僕の番だとあからさまな咳払いをした事で、黙ったまま愛聖さんの前に1歩踏み出る。
『空気が動いた・・・?じゃあ、さっそく誰か考えますね?』
陸くんやナギくんと同じように、愛聖さんが僕の体に手を伸ばし、ニコリと笑顔を見せた。
・・・正確に言えば目隠しをしているのだから笑顔そのものが見えた訳ではないけど。
『この人は逢坂さんです、正解ですか?』
「え、あ、うん・・・僕だよ」
よし!と嬉しそうに手を合わせて喜ぶ愛聖さんが、何となく微笑ましく感じてしまって僕も小さく笑ってしまう。
三「意外と壮五だって分かるまでが早かった気がするけど、なんでだ?」
『そうですね・・・強いて言えば、纏う空気が穏やかだったから・・・です。逢坂さんて普段から姿勢正しくて、所作とかも綺麗だし。何より、なんかこう・・・ふわっとした空気を感じるというか、穏やかなんです色々な事が』
軽く握った手を口元に当てながら話す愛聖さんは、そう言った後に僕に向けて、ね?と小首を傾げた。
「なんだか、そんな風に言われると・・・まぁ、うん・・・」
ちょっと恥ずかしいというか。
そういう風にいつも思われていたんだって考えると、胸の奥が擽ったいというか。
環「そーちゃん照れてんの?」
「ちっ、違うよ環くん!僕は別にそういうのじゃなくて」
環「じゃ、なに?」
「だから、その・・・まぁいいじゃないか。僕だって正解したことには変わらないんだから。大和さん、次に行きましょう、次に」
環くんの追求から逃れたい気持ちも走って、僕たちの様子を楽しそうに見ている大和さんに先を進める。
常に姿勢正しく、所作もきちんとしろと教育されて来た事が嬉しく思えてしまう自分がいて・・・そんな自分にも驚いたな、と目を閉じる。
僕がすること全てに反対する者を拒絶して冷え固まっていた僕の心は、みんなや愛聖さんとも出会えた事で、こんなにも素直に嬉しいと思えるようになっていたんだな・・・