第11章 スタートライン
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
空港からタクシーで事務所まで帰って来て、やっとのんびり出来る···と思いながらグンッと伸びをする。
紡「ありがとうございました。また宜しくお願いします」
しっかしなぁ···空港からここまでの距離とか考えたら、行く時みたいに電車で···とはいかないか。
それぞれ疲れもチラチラ見えるし、なんせあのタマの荷物の多さよ。
行く時の倍くらいになってるんじゃないの?
なにより1番大きな荷物って言ったら、あの巨大なぬいぐるみ···だけど。
「タマ、お兄さんも少し荷物持ってやるから貸しなさい?じゃないとソウが大変だろ?」
自分の荷物以外にもタマの荷物を持つソウの前に手を出して、いくつかの手荷物を受け取る。
「ほら、それも」
大事そうに抱えてるそれに手をかければ、タマはフイッと体を捩ってしまう。
環「これはいーの!俺がマリーにみんなの代表として渡す」
「みんなって?」
環「俺と、いおりんと、そーちゃん!3人でお金出して買ったから」
あー、そういや土産物屋で騒いでたっけか。
一「比率的に言えば、逢坂さんが1番お金を払ってましたけどね」
壮「いいんだよ、一織くん。環くんがそれを見つけなかったら愛聖さんへのお土産が細々したものばかりになってしまってたから」
ふ~ん?
「ソウ、おまえさんどれくらいの比率で払ったんだ?」
一「逢坂さんは全金額の半分、といった辺りでしょうか。残りを私と四葉さんで」
なるほどねぇ···んじゃ、おれもそこに乗っかるか。
「ソウ、オレがソウの出した金額の半分を出す。それなら4人で等分になるだろ?」
壮「そういう訳には···」
オレが提案すれば、オレが年長者なのに悪いからと変な気を使うソウがいて。
「いーのいーの。オレもなに買って帰ろうかなぁ···とか思ったけど、イマイチ浮かばなかったし。だからこの際、ひと口乗っからせろって」
な?と笑って見せれば、それなら···とソウも納得してオレが差し出した代金を受け取った。
「さぁて、そんじゃ···行きますかね」
メンバーの顔をグルリと見ながら事務所のドアを見て、マネージャーに行くぞ?と促す。
こんなデッカイぬいぐるみなんて渡したら、きっと喜ぶだろうな?なんて考えながら、顔が緩むのを隠せなかった。