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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第11章 スタートライン


小「万理くん、出掛ける前に事務所に1度寄ってからと思ってるんだけど、いいかな?」

万「えぇ、もちろんです。社長は愛聖と出てしまうので、俺は事務所に残って留守番してますから」

車を走らせながら、社長と万理が会話するのをボンヤリと聞いていた。

社長が出掛けると言っている先は、考えなくても分かる。

然るべき場所。

そこに昨日の事を届出を出しに行って、それから···

全ての事が終わるまでは、髪もバラバラの長さのままでいなきゃならないし。

顔の腫れや、縛られたせいで傷を負った両手首よりも···それが何より、辛い。

たくさんの思い出が詰まった髪を、切り揃えて整えなければ見てくれは悪い。

だけど、そんな簡単な事が辛くて。

いっそ···このまま、なんて安易な考えさえ浮かんでは消えて行く。

万「社長···事務所の前に他の社員が···」

小「あれ?みんな鍵は持ってるはずなのに、どうしたんだろう?」

万理の言葉に社長が事務所の入口に集まっている他の社員さんを見て首を傾げた。

万「ひとまず事務所の前に車を停めますね」

そう言った万理が事務所の脇に車を停めて、それと同時に社長と一緒に私も車から降りた。

小「おはよう。みんな、こんなところでどうしたの?」

社長が社員さんの顔を見ながら言えば、その内の1人が細々と話し出した。

「それが···私が来た時に事務所のドアが開いていて」

小「ドアが?」

「はい。あ、でも、普段から大神さんが早く来てるので、それでかな?って思いながら中に入ったんですけど···荒らされているっていうか···」

社員さんの最後の言葉に、社長の表情が強ばる。

小「分かった。みんなはこのままここにいてくれる?僕が中に入って様子を見てくるよ」

万「俺もご一緒します。なにかあったりしたら社長1人じゃ危ないですから」

小「万理くんが一緒なら心強いよ···あ、愛聖さんはそのまま、他のみんなと一緒にいてね」

『あ、はい···』

社長と万理が頷きあいながら、事務所の中へと入って行った。

昨日は···最後に万理がちゃんと鍵をかけたのを社長と私が見た。

だから、鍵のかけ忘れって事はないはず。

それなのに、他の人が出社した時にドアが開いていて中が荒らされてるみたいだって事は、もしかして···泥棒が···?

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