第11章 スタートライン
愛聖を甘やかし放題の大先輩···それって、オレの知る限りRe:valeしかいない。
いや、どう考えてもRe:valeだろ。
特に···あぁ、思い浮かべたくない人間。
待てよ?
そのRe:valeの番組に出るって言ってたんだから、そこで大きなミスでもしたか?
もしくは誰かとトラブった?
···有り得なくもないような、そうでもないような?
天「じゃ、ボクは戻るから」
三「あ、この大量のルームサービスはどうすんだ?持って帰った方がいいんじゃないのか?」
九条が立ち上がり歩き出すと同時に、テーブルやそのまわりに並べられたいくつもの料理やフルーツを見てミツが呼び止める。
天「せっかくだから食べたら?食べきれないなら···甘ったれのセンターにでも、食べさせればいいよ。じゃ···」
スマートな身のこなしをしながら九条は部屋から出て行った。
三「甘ったれのセンターって···」
一「まぁ、間違いなく七瀬さんの事でしょう。適度な糖分は疲労回復にも繋がります···素直じゃないですね、あの人」
イチ···それをおまえさんが言うのか?
三「でもなぁ、その陸本人が···九条天の部屋にいるんだけどな」
一「鉢合わせたりして、発作を起こしたりしたら···」
「それはないだろ。そもそもリクは九条の部屋と間違えて八乙女の部屋に行ったんだから。それに、その八乙女はいい人対応だったしな」
一「なら···いいですけど」
まーったく、イチは本人がいない所で心配性だな。
それよりも九条が置いてった爆弾発言。
オレはそっちの方が気になるけど···なにがあったんだ?
オレらにも関わるような事だったら、社長か万理さんがマネージャーに連絡して来るだろうし。
それがないって事は、愛聖だけに関係してるなにかって事なんだろうけど。
···明日、帰ったら分かるってことか?
ナ「ヤマト?怖い顔してどうしましたか?」
ナギが不意打ちで顔を近付けて覗き込んで来る。
「なんでもないって···ってより!急にその超絶イケメンな顔を寄せるなっての!心臓止まるだろ!」
はいはい、退いて···とナギを押し退け、モヤモヤする考えを払拭するかのように、コーヒーサーバーのスイッチを入れた。