第11章 スタートライン
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
なんで···こういう状況になってんだオレたちは···
ミツの部屋に、オレとナギ···それから、イチ。
4人揃って仲良く床に正座で?
目の前には···TRIGGERの九条天と来たか。
ちょっとした経緯から九条天と鉢合わせ、適当な理由をつけて逃げようとしたのに。
天「二階堂大和、よそ見してるけどちゃんと聞いてるの?」
「あ~はいはい、聞いてますって」
しかもなぜフルネームで呼ぶ?
天「ならいい。ボクが言いたかったのはそれだけだから」
一「ミューフェスの事は、私の責任です。メンバーにはなにも関係、」
天「ないわけないよね?メンバーなんだから。そもそもプロとしての自覚はちゃんとある?アイドルだからって、ただ笑って歌って踊ってれば言い訳じゃない。その裏側にどんなに辛い事があっても、ファンの前ではずっと···笑顔でいなきゃ意味がない」
···ごもっともです。
天「はぁ···少しは愛聖を見習ったら?」
呆れながら言う九条を見て、どういう事だと聞き返してみる。
天「全てに置いて、だよ。普段は甘々の天然っぷり、甘ったれっぷりを発揮してるけど、仕事となれば···ちゃんとしてる、と思う。昨日だって、あんな事があったのに···っと、これは言えないね」
あんな事?って、なにがあったんだ?
ナ「ワタシのマリーに、なにかあったのデスカ?」
三「だから、ナギのじゃねぇだろって!」
一「兄さん、いまはそんな事をツッコミ入れてる場合では···」
おいおい···九条の顔がメチャクチャ険しいじゃないか。
大「都合上、アイツの先輩であり、同じ寮で生活をしてる責任者として聞くよ。愛聖に何があったんだ?」
もし、またケガでもしたんなら···前みたいに私生活の手助けとか、なんかそういうのが必要かも知れないし。
それならそれで、早めに情報があった方がオレたちも動きやすい。
天「ボクの口からは言えない。けど、ここでお気楽に探偵ごっこをしてる人間よりも、きっと苦しんでるよ」
一「苦しんでる、って···」
詳細は言わないにしても、ヒントになるような言葉を放つ九条にざわめき立つ。
天「これ以上のヒントはなし。彼女の、愛聖の名誉の為にもね。そばに居るのはきっと、甘やかし放題の大先輩じゃない?」