第2章 天ψ!科学者との遭遇
知られてはいけない秘密って、誰しも一つはありますよね?
勿論、私にもある。
中学時代に書いた封印されし黒き聖書がある……とかではなく、見つかったら身の安全が危ういレベルの地雷を持っている。
そう、隠し通さなければ、きっと永遠に自由な生活には戻れない。
自らの知識を高めて、何度も研究を繰り返して、いつか完全に“秘密”を掌握出来るように努力を惜しまない。
「あっ、やば〜」
ドンッッ
「はぎゅっ」
そう、例え街角でロンドン市内のレンタルサイクルサービス『ボリス・バイク』に車体をぶつけられても。
運悪く頭をぶつけてしまったようで、頭にガンガンと痛みが鳴り響く。
意識がぼんやりしてきた。
………ダメだダメだダメだダメだ!!意識を手放してはいけない!今まで守ってきた“秘密”が水の泡に……!
「あらら〜、大丈夫かな?」
「あー……大丈夫?うん、大丈夫!大丈夫れす……」
「ダメそうだね」
ま、ずい……非常にまずい……、身体が言う事を聞かない。
閉じようとする瞼に抵抗出来ず、フッと意識を手放した。
「そうそう、無理に起きようとしちゃダメだよ。今は意識を手放すんだ。……飛崎羽純サン」
目の前で意識を手放した少女ーー飛崎羽純の身体は、地球の重力に反して徐々に地面から浮かび上がってきた。
浮かび上がる少女の身体を、青年は一物含めた笑みを浮かべて見つめていた。