第13章 青い炎
「それで?
俺を殺す覚悟は出来たか?」
「!」
「魔族となれば天族による転生はされず
インドリームに殺されることで魂は浄化される、だよな?
お前は俺を救うって言ってたけど殺すって意味だろ?」
「インドリームとして言えば、それが正解だ
けど、一つだけ殺さずに済む方法があったんだ」
ジェイクはこの世界に来る前に、ヒルト、クライヴ、ユリエフから唯一アドラを生かす方法を聞いていた
それはアドラの魂をクライヴの中に封印することだ
ただ封印するのではなく
闇の騎士と同様にクライヴと契約を交わし、魂を格納させて眠りにつかせる
眠りにつかせることでクライヴの闇と、アドラの闇が同化することで眠りが覚め、適切な肉体が見つかれば魂をそこに移し替えることで
晴れて自由な身になる仕組みだ
だが、もし2度目の魔族化になればいち早くクライヴに気づかれ
クライヴの手によって葬られることになる
その仕組みをジェイクが話し合えると
アドラは少し目を丸くしてきょとんとしていた
そしてすぐに笑い出す
「ククク」
「な、何がおかしいんだよ?」
「いやー、真剣な話なのに今も泣きそうな顔してるから
ちょっと面白くてな、ククク・・」
「お、俺は真剣だぞ!?」
照れ隠ししながらジェイクは言う
アドラはわかっている、と言う素振りで
片手を上げてジェイクを制止する
そして大きく息を吐き出し、落ち着かせてからジェイクに目を合わせる
「はっきり言うが、断る。」
「アドラ・・」
「あの闇堕ちと契約は我慢だね
奴の闇の部分に少し触れたけど、かなり危険だ
お前には悪いが、あの闇と同化するってことは奴が暴走した時俺も巻き添えくらうだろ」
「クライヴは暴走なんて」
「自分から暴走する原因は作らないだろうが
奴を作ったのは誰か知ってるだろ?」
クライヴを作った闇の神の圧倒的な力の差を思い出す
あの遺跡で起きた事は一片たりとも忘れはしない
だが、クライヴも同じ過ちを繰り返すほど愚かではないし
出会った頃より闇の力が安定している
これまで観察してきて簡単に堕ちるとは思えないのだ
「闇の神の力は闇の存在にとって絶対だ
だからこそ、逸脱できてない状態の奴と同化するのは嫌だな」
「逸脱?」
確実に何か隠している言い方をするアドラに
ジェイクは違和感を感じる
だが、今考えることはそうではないと思い出し、論点を戻す
