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IN DREAM2

第13章 青い炎


「で、どうするって?
お前と俺の力の差は外の世界で思いしったはずだろ
それでも精神世界で戦うっていうからには
逆転できるからだよな?」

「当たり前だ。
俺はここにお前を呼び出すために
ヒルトの帰りを待ってたんだ」
「・・あ゛ん?」
「ヒルトはこういう世界のことを一番知ってるからな
だからこそ、本当のお前を俺の精神世界に引きずりこむことで
何通りのお前と相手しなくて済むし
本当のお前と会えるだろ」
「てめぇ、どういうーーーー」

アドラが一歩前に踏み出した瞬間、その顔は仮面をかぶっていた人形のようにはずれ、顔の前面部分だけが地面に落ちる

「え」

落ちたアドラは自分の顔が真っ黒になり、ただ立っている姿が視界に移される
何が起きたのか理解できない
首は胴体とつながっているが、顔だけが、文字通り落ちたのだ
それと同時に、肉体にまとっていた燃え盛る闇の炎は落ち着きはじめ、目をにひらくアドラの顔を、顔なしの体が踏みつける

その音は肉を潰す音ではなく、固いガラスを砕くように響き
粉々になった顔は闇となって実体を失って消えていく

うつむいた顔なしの肉体はしばらく動かず、ジェイクも一言も発することなく静かな時間が流れてく

ジェイクの精神世界は今の彼の心を素直に映し出していた
アランの水の力で相手の心を映しだし、さらにヒルトが相手の魔力をその世界に送り込むことで成り立つ異空間
アドラの一瞬の隙をつき、竜巻を起こした間に考えた即席プラン
アドラの中に生み出された多くの人格を捨て去り、闇に隠れた本心を引き出し、ジェイクと立ち会わせることで
決着をつけることにしたのだ

(こんなことがすぐに考えれるのは
やっぱりヒルトしか出来ないな・・
あいつには、感謝してもしきれない
こんな中途半端で裏切り者の俺のために
命かけて戦ってくれたんだ
いや、ヒルトだけじゃない
アランやユリエフ、ライセイ、イリヤクライヴだって
俺に言いたいことがあるはずなのに
ここまで来てくれた
これが、本当の仲間、なんだな)

ジェイクは目の前に広がる空間を眺めて仲間へ思いを馳せていた

青空にかかった深い雲は自分の中に残っている火族としての感情の現れ
所々割れ、亀裂が入った乾いた大地は欠落した感情の現れ
平原の中心に聳え立つ山の中心が丸くえぐり取られているのは、大切な存在を失ってしまった損失感の現れだ


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