第13章 青い炎
ジェイクから聞いていたアドラの話や
過去を基に、ヒルトは目の前の敵がアドラの本当の
精神体ではなく闇に堕ちてから生まれた副産物だと信じている
(きっと、本体は外にいて
まだ肉体に留まっているんだ)
「純粋な闇は、純粋な光の対となる」
「あ?」
「この世界のルール。
だからこうする」
ヒルトは持っていた武器を消滅させ
その代わり蓄えていた風の魔力を拳にため
一気にアドラは放つ
「?!」
風の魔力はアドラの精神へ勝手に吸収されていく
「何考えてる?
俺に自ら風の力を与えてるようなもんだぞ」
「それでいい
あんたが本当の精神体なら
吸収されてから〝その〟異変は起きないはずだからな」
ヒルトが指を指す方へ目を向けると
アドラの腹部が渦を巻き出し
すぐに大量の風が吹き荒れる
「なっ何しやがった!?」
風と共に歪んでいくアドラ
霧が風にのって消えていくように
姿はすぐに消え失せる
「すごい・・君は一体何をしたんだ?」
「俺の魔力をあえてアドラに渡したんだ
相手が闇の力で生まれた精神体なら
光の力であるインドリームの魔力は効く。
肉体がないこの世界だと
ダメージを受けるのは精神体そのもので、現にさっきのアドラは消滅した」
「あんな危険な相手をすぐに消せるとは
流石インドリームのリーダーだね」
「けど、安心してる暇はないと思う」
安心感に包まれていた空気は一変する
消滅した精神体とは別の精神体がいつの間にか生まれ
ヒルト、ローランの前に立ちはだかる
服はボロボロで体のあちこちに
包帯を巻いている少年のアドラ
過去の一番苦痛だった時の姿で顕現したその目は
死んだ魚の目のように黒い
「増殖する前に倒せばいいなんて
甘い考えだなヒルト・クローズ」
表情は変わらずアドラはヒルトに目線を合わせる
「俺達は既に生まれているし
止めることなんて出来ない
だって感情がある数だけ俺達はいる。
今の俺を倒したところで
また別のアレが生まれるんだ」
「それでも、俺は諦めない
何度だって戦うし
あんたを救ってみせる」
ヒルトの目は外で戦っていたジェイクと同じ目であることに
アドラは外でも内でも同じ目をしている二人が
気に入らなくて仕方がなかった
何度壁ができても希望を捨てず
裏切られても信念を曲げず
誰かのために力を使う心を持つ
対して自分は何を求めているのかーーーー
