第13章 青い炎
魔人という存在が現れる前に天族に抹消されているか
インドリームに討たれることで防いできたため、出会ったことがない
文献に残された少ない情報だけではアドラの戦闘力を図ることはできない
そして、そうなってしまった後はどうなるのかも、ジェイクは知らなかったのだ
深く息を吸い、深呼吸するアドラの見た目は
人の時の姿をかろうじて残してはいるが、それは確実に異形だった
頭部の両端から曲線の角が突き出し、背中まで伸びている
角の付け根から先にかけて青く光る魔術文字が描かれ
浮き出た背骨は腰から尻尾へ変化し、脊髄がむき出したような形をする
全身は闇の衣で包み、服等は見当たらない
膨大に膨れ上がった筋肉は血管を皮膚の表面に浮かせている
「解放されたような気分だ」
「解放・・・?」
「あぁ、お前にはわからないだろうなジェイク
籠っていた心も力も解き放たれ、今の俺なら何でもできる気がする
異能だけに頼らなくてもお前を肉弾戦で殺せる
こんな風になっ!」
「?!」
ジェイクは瞬きを終えた直後、アドラの巨大な拳が目前に迫っており、避けることができないまま直撃し、石材の柱に激突する
「うぐっ」
すぐに態勢を立て直すつもりで立ち上がるも、腰を捕まれそのまま逆方向の地面に叩きつけられ、振り回される
魔力を練る間もなく、両手で必死に頭を守る姿勢でされるがままのジェイク
そんなジェイクを見ながらアドラは高らかに笑う
「はははっどうしたジェイク!
俺を救うんだろ?!」
地面に叩きつけたジェイクの頭部を踏みにじり、踏みつけた膝に肘をつけるアドラ
「お前の炎の意志が本物なら、どうしてインドリームの力はお前に応えようとしない?
あの医者に宿っていた炎は本物だ
それは今の俺を見れば証明できるだろ。
だったらお前は何だ?
どうして何もできないままなんだ?」
「っ・・・俺は・・」
自分の非力さに噛みしめるジェイク
何も出来ない、その言葉を否定したくても出来ない
ヒルトを守れず、アドラも守れず、口先だけ立派なことを言う
現実を見れば見るほど、心が廃れそうになる
(いいや、俺は諦めないと決めただろ!)
ジェイクは全身に力を振り絞り、吐血しながら立ち上がろうとする
同時にジェイクの全身に赤い炎が纏い、すぐに距離をとるアドラ
「俺はもう、自分にも誰にも嘘はつかない
友を救うという誓いは今、ここで果たす!!」
