
第13章 青い炎
穴が開いた鉄の肉体からは煙が立ち上げ、壊れたロボットのようにその場で崩れ落ちていた
顔もになるパーツもバラバラで小さな電気が走っている
「終わりね、零式」
腰につけていたポーチから包帯を取り出し
腕からの出血を止めるように巻きながら、アンリは戦闘不能になった零式を見下ろしている
「お、ワリ・・では・・」
「終わりよ。
とどめをささなくても、じきに死ぬでしょうしね」
ナイフを鞘にしまい、静かにその場を去っていこうとするアンリ
背中をぬけた瞬間、ローランの鎖がアンリの背を交差するように伸び、どこからか飛んできた毒弾をはじき返す
「!?」
「爪があまいわよアンリ
あの気配を感じ取ってなかったの?」
「あの気配って・・」
振りむくと闇にひそむ数人の火族の気配を感じ取る
「成長したね、アンリ」
「コズモ?!」
黒装束の男達の後ろから現れたのはアドラのいた場所から移動したコズモだった
「君たちと戦うつもりはないよ
僕は忙しいからね」
まったく敵意を見せないコズモにアンリとラルザは逆に不気味さを覚える
「ただ僕は、彼女が最後まで戦えるようにしてあげたいだけさ」
バラバラにあった機械のバーツを広いあげ、コズモは零式の前で座り込む
「あーあ、核からつぶされちゃってるのか
それはまずいね」
コズモはは手の平から光る鎖を取り出し、一気に零式の中へ押し込んでいく
「なに?!」
「下がりなさい、アンリ!
ここは危険よ!」
鎖は零式の中へあっという間に吸収されてゆき、
潰れていた機械の肉体とは思えないほど膨張していく
それが一体何を意味したのか、ラルザはすぐに理解した
光る鎖はコズモの魔力が仕込まれている特殊な術であり
それを零式の動力源に無理矢理魔力化して入れ込むことで
動かせない体にコズモが指令系統を制御しているのだ
そしてコズモは零式が完全に使えないと判断した瞬間
扱い方を変えたのだ
同じ一族としてではなく、爆発物へ変えた
「コズモ、相変わらずあんたって野郎は
人の心がないのか!」
人を物のように平然と扱うことに
誰よりも嫌悪感を感じるアンリ
かつて己が体験したことがフラッシュバックする
「何言っているんだいアンリ
僕は零式を最後まで火族として
全うさせようとしただけだ」
機械化となり、核を損傷している零式は
自力で自爆することもできなかったため
コズモは役立つ死へ導いた
