第13章 青い炎
闇の中、男の声が聞こえた
どうやら自分の名を呼んでいる
それに応えれているのか
この時のアドラはわからなかったが、どうやら心の中で
話す感覚に近い
声に出していなくても、思った言葉で意思疎通ができるのだ
男は自らの名を名乗り、取引を持ち掛けてきた
自由と引き換えに、実験を手伝うという内容だ
それに応じなければ、一生この異空間で魂だけが彷徨うことになる結末も教えてきた
未練が多かったアドラにとってみれば、自由を手に入れるチャンスがあるなら、手段はい問わなかった
男の取引を応えた直後、意識は現実へ引き戻される
再び肉体を手に入れることができた時の夢を
アドラは見ていたのだ
「こっちに戻ってきてからは・・・あっという間だった」
棟の屋上で火族の英雄像が飾られており
その額の部分に仰向けで寝転がり、その背後に立っていた少年に話す
「なぁ、コズモ」
両目に火傷を負って包帯を巻いたコズモは
それでも見えているかのようにアドラを見ていた
「ははっ、僕の気配がわかっちゃうか」
「まぁな。
この体になってから五感が常に研ぎ澄まされてる感じだ
以前の俺なら、真後ろに来られててもわからなかっただろうな
・・んで、あの医者から情報は抜き取れたのか?」
「僕を甘くみないでよね
必要な情報は抜き取ったさ。
受け取ってよ」
コズモは負傷した両目から炎の魔力を抜き出し
アドラの中へ流し込んでいく
それと同時に、両目の火傷は治癒し、包帯を取りほどく
「ふー、僕でされ保管するのに両目の視力をなくしかけた
けど、あの医者はこれの倍以上の魔力をずっと持ってたんだ
恐ろしいね、本当に。」
「それはインドリームの素質がある人間と
そうでない人間の違いだ、コズモ
あの医者は少なからず候補者だったんだろう
もし、ヒエンやジェイクが選ばれない未来があれば
あの医者がインドリームになってたんだ」
炎の魔力を受け取り、アドラは確信を得たうえで話す
「ヒエンはジェイクの儀式で死亡したって聞いてたけど
まさかあんな形で生きてたとはね。」
「誰にでも奇跡は起きるもんだ
俺がそうであるように。」
「奇跡、ね
神様からの気まぐれなプレゼントだろうけど、君はそれを授かり、ここにいる
本当に、君ともう一度会えてよかったよアドラ」
「コズモ・・お前・・・」
「僕はまだ仕事が残っている
悪いけど、先に行かせてもらうよ」
