第13章 青い炎
空中に浮かぶ少女は灰色の着物を身にまとい
禍々しい魔力を放つ呪符を円形に描き、ジェイクとヒルトを見下すように話す
「そこの出来損ないのインドリームが完全に力を剥ぎ取ることをしなかったから生まれたもう一人のインドリーム。
過去の中で出てきたでしょ?
ジェイクに追い込まれて力を失った少年が。」
ヒルトはジェイクの過去を観たときのヒエンという
少年を思い出す
だが、その少年はジェイクに力を奪われ、死んだものと思っていた
「ヒエンが生きていたってことか?」
「ちょっとジェイクあんた、何も話してないままそっち側に寝返ったの?
本っ当に腹が立つわね」
見当はずれなヒルトの言葉に、嫌気がさしたように少女はため息交じりで話す
「教えてあげるわ、風のインドリーム
ヒエンはあの時死んでない
火族の目を盗んで逃げ出し、あの医者に命を救われたのよ
けど、無理矢理奪われた魔力の量が多いせいで生命力が追い付かず、結局死んだけどね。
そして死ぬ前に残ったインドリームの力を医者に譲ったってこと。」
「ローランさんが・・・インドリーム?!
そんな事象、きいたことがないぞ
インドリームが二人も存在するなんて!」
「だから二人とも歪じゃない。
医者は寿命がほとんどないから白髪だらけの貧弱だし、ジェイクは多重人格とか、考え方ころころ変わるしね」
「なっ―――――」
「だから歪な力をまとめる存在が必要なのよ
世界を変える絶対的な意思をもったアドラこそ、インドリームになるにふさわしいわ!」
「今日はよくしゃべるな、キミ・ミズエ」
優雅に語っているキミの会話を途絶えさせ、ジェイクは冷静に両手に手甲と炎を纏わせる
「ヒルト、今のキミの話は本当だ
俺もローランさんと会った時にそれは確信したからな
けど、それ以前にキミとの戦闘が優先だ」
「へー、やる気なのね
けど、もう始まってるわよ!」
キミが背後に浮かばせる呪符の一枚を取り、人差し指と中指で挟んだ時、ヒルトとジェイクの頭上には180と数字が浮かぶ
「人体が窒息死するまでの時間は3分から5分。
180秒・・それがあなた達の刻限よ
その時間までにあたしを殺せればいいけど、きっと無理。
なぜなら、あなた達は仲間同士での殺し合いができないからね」