第13章 青い炎
「くっ!」
鋭い牙をむき出しに口を大きく開く幼魚に
アランは双剣で防ぎ、そのまま切り裂き、幼魚の体が真っ二つになった途端、その幼魚がかすかに人の言葉を呟いたの聞きのがしはなかった
小さな声で確かにアランの名を呼んだのだ
その声には聞き覚えがあった
かつた暗黒戦争が激化する以前、何度か地上へあがっては人間たちと交友があり、将来水族の外交官を目指していた少女の人魚だ
だが、その少女は突如姿を消し、捜索隊を派遣するも手掛かりがみつからず
一部の捜索隊の消息が絶り、未解決事件となったままだった
「捜索隊も・・あの子も・・そのナイフを造る為にあんたが殺したの?!」
「ふふふ」
「何がおかしいの?!」
怒りで抑えきれない感情がむき出しになるアランに
馬鹿にした笑みでビーチェは答えていく
「だから、殺してないって言ってるでしょ?
人魚の鱗は鮮度が大事なんだから。
つまり、この毒を防ぐには生きた人魚の鱗が必要なの」
「嘘よ・・生きていれるはずがない!
魂を肉体から外してそのナイフに封印してるとでもいうの?!」
「あら、不可能じゃないでしょ
現にあのクライヴ・ベネディクトは闇の騎士の魂と、赤い蝶の魂のみを管理し、生かしてるのだから。」
クライヴのすることは闇族特有の力だから、ということで
深く考えなかったが、そうじゃなく他種族にも通用するとなればアランにとって、他人事ではなかった
今ここでクライヴがいれば、すぐにでもあのナイフの中に閉じ込められた同族を解放するために問いただしただろう
だが、それはできない
今できることは、毒に覚えるイリヤと戦い、仲間と合流することのみ
「あたし達を別の次元に飛ばしたのは、こういうことね」
「そういうこと。
じゃないと純粋に殺し合いができないし、アドラの目的も達成できないからね」
「あったまにきたわ!
そんなに死にたいなら、相手になってあげるわよ!」
アランは双剣に水を纏わせ、構える
「イリヤ。戦える?」
「え・・う、うん」
不安気な声で武器をとるイリヤ
いつもなら心細いと感じるところだが、今のアランにとってそんな感情はなく、只々目の前の相手を倒し、ナイフを取り上げることしか考えなかった