第13章 青い炎
負傷した肩を治癒されながら
ヒルトは大剣を取り出す
そして躊躇なく結界の入口に投げ入れ
砂漠に剣だけが落ちた
そして風の力を込め、大剣を無造作に振り回しながら
他の結界の中を見ているヒルト
其々の結界で大剣だけが動き回る光景が見える
「ヒルト君?」
ヒルトが何を確認しているのか
理解できないユリエフは、咄嗟に不安な声で心配をかけるが
ヒルトは優しく微笑み、「大丈夫」と一言返し、
さらに剣を、別次元の世界が見えるオアシスの水の中に沈めようとする
だが剣は沈んでいくことなく、剣先だげが突き刺さったまま動かなかった
「なるほど、次元の範囲を確認しているのか」
1人だけ納得したようにしたクライヴに
ヒルトは黙って頷き、全員に目線を向けた
「最低限、確認しておきたかったんだ。
・・相手が火族の魔術師なら何かしら細工はしてると思うし。」
「リーダーと自ら確認する判断は懸命だな、ヒルト・クローズ
安心しろ、この次元はここと同じで結界と異次元の狭間。
移動手段は特殊だが、それ以外は全て現実と同じ。
どうする?
あの龍族の少年を助けるならここを通る必要があるぞ
もちろん、アドラやあの医者の元へ行くにも必要な通貨道だ」
バザンは砂漠の光景を消し、ローランが幽閉されている薄暗い空間を映し出す
「!
ローランさん・・!」
アンリの声が届いたのか、ぐったり横に倒れるローランの肩が動き、小さな声でアンリの名を呼ぶ
「そこにいるのか・・?
アンリ・・・?」
震えた子犬のような声で呟くローランの全身は鎖で縛られ、着ていた衣服が所々破け、露出した肌は青く内出血したり腫れあがっていた
「今・・そこに行きます!
あなたを・・死なせたくない!」
アンリは躊躇なく走り出し、ローランが映し出された結界へ身を投げる
「ちょっと?!」
「アンリさん、待ってください!」
勢いよく走り出すアンリに、アランとユリエフは手を掴む暇もなく止めることができず、後を追うとする
だが、それよりも早く動き出したのラルザ
「彼女のことは私にお任せください」
アランとユリエフを追い越し際にそう言い残し
アンリと共に結界の中へ姿を消していく
二人を取り込んだ結界はすぐに違う光景になり、
砂漠、森、氷山等自然に包まれた景色がフラッシュバックする
「さて、行動力があるあのガキの次にどいつが入る?」
