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IN DREAM2

第12章 炎の意志




煙が立ちこむ中、空から照らされる光はか細い

天高くそびえ立つ石柱は太く、人の手で作ったとは思えないほど圧倒される空間が広がっていた

「・・・この遺跡、まだ残ってたのか」

赤い短髪に巻いたバンダナをまき直し、鼻まで覆い隠していた黒いマスクを外しながらジェイクは一人、石畳の吹き抜けの廊下を歩いていた

(アドラの言う通りに火族の捨て駒と、ハーフの医者を襲ったけど一体なんの意味が?)

ジェイクは考え込みながらひたすら歩き続ける

その先にはアドラが根城にしている管理棟が建っていた

「いや、考えても仕方ない
アドラが考えてることややろうとしてること、全部確認する必要がある」

心の中で揺らいでいた疑問を解消させるため、決意を固めて足を進めるが、その歩みはすぐに止まる



「よぉ、久しぶりだなジェイク」
「あたし達のこと、覚えてる?」
「覚えていないと、彼の脳は重傷ですよ」

石柱にもたれかかっていた男は180センチ程ある高身長であり、瞳を隠すための仮面と口には漆黒のマフラーを巻いている
首から下げるシルバーネックレスは6色の宝石と火族の暗殺部隊の紋章のチャームを飾っている
長袖と赤いローブに身を包んだその男は、死風の暗殺部隊で魔術に特化した火族のバザン・ベクレル

次に声をかけた長い赤髪の女性は前髪をセンターで分け、口からは細いタバコを咥えている
黒いノースリーブのレース服にはわずかに酸化した血痕が飛び散っていたが、
真紅の口紅と橙色と華やかな色で化粧を施したその美貌は
ついさっきまで人を殺し、任務から帰還した者の顔とは思えないほど整えられている
彼女の名前はビーチェ・ベクレル
バザンの妹だ――――ー。

最後に話した少年は灰色の天然パーマと愛らしい青い瞳を持っていることから
見た目の実年齢が同じには見えない諜報員だ
首から下は漆黒の包帯を巻いているが、うまく軍服で隠している
少年の名はコズモ・ベクレル
バザンの弟であり、死風の暗殺部隊で唯一スパイ活動に特化するよう教育を受けた諜報員。

この三兄弟は各々が生まれ持った能力に合った教育を受け、火族の中で敵に寝返らせてはいけない存在にあげられている

これま火族は多少の裏切りがあった場合でも損失が発生しないよう、呪印や洗脳で抑制していた
だが、この三兄弟は優秀なDNAを引き継ぎ、火族の抑制力が効かない者達。

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