第12章 炎の意志
「決まってるだろアラン
ジェイクを助ける!」
「ーーーえ?
けど、あいつの事をインドリームじゃないってさっき」
「それはジェイクの今までの状況であって、それだけで助けない理由にはならない。」
「ヒルト君の言う通りです
きっとジェイク君も何か理由があったのでしょう
火族であり、暗殺部隊に所属していた彼なら一筋縄ではいかない問題を抱えているのは明白です
彼がどんな思いを抱いているのか、直接会って確かめるのが懸命です」
「そうだ。
俺たちはまだジェイクの事を何も知らないじゃないか
インドリームだけで仲間じゃないって言うのはおかしい」
強い意志を持ちながら話すヒルトとユリエフの言葉に
アランは揺らぐ感情を根底から支えられた
「あの、水を差すようで悪いが、もしそのジェイクという者が仲間に戻らないと言った時はどうするの?」
右手を軽く上げ、挙手しながら声をあげたのはアンリだった
「火族とはそう簡単に変えれる人格者じゃないわ。
半端なアタイが言えたことじゃないけど、他の種族とは並外れた訓練をされたのが火族であり、それも死風の暗殺部隊なら尚更。
話を聞く限り、その人は任務のためにインドリームに潜伏していたが、もうそうする必要がなくなったから元いた場所に戻った・・
そんな人をどう説得するの?」
「ーーー正直、ジェイクがどうしたいかはジェイク自身が決める事だ。
けど、あいつがもし、少しでも俺たちと旅をしたいって思ってるなら、俺は全力で手を差し伸ばす!
どれだけ闇の中にいても、夢を持っていれば光の声は届く・・そうだろ、クライヴ?」
「フッーーーー。
そうだな・・今のジェイクを救えるのはヒルト、お前しかいない」
クライヴは闇の球体から浮かばせている弾丸から微量の魔力を抜き取り、微かに微笑みながらヒルトへ目線を向ける
「かつて破壊と混沌しか生み出さなかった俺の力を、誰かを守る力へ変えれるようにきっかけを作ってくれたように、今回もジェイクを変えてやれ。
光の力・・インドリームを束ねるお前なら出来ると俺は信じている
その為に必要な事は何でもしてやる
例えば、ジェイクと接触するためにローランを見つけ出す等な!」
闇の球体を凝縮させ、20センチ程あった球体はクライヴの右手に収まり、弾丸から抜き取られた魔力を中心に寄せていく