第12章 炎の意志
「ヒルト君は、ローランさんが真のインドリームだと
思うのですか?」
「いや、ローランさんもインドリームじゃない」
「だったら、本当のインドリームは誰なんだよ?!」
ユリエフの問いにすぐに答えても
ライセイの問いにはすぐに答えようとしなかったのは、憶測だとしても軽んじて言ってはいけない事だったからだ
確固たる証拠がなければ考えもつかない
それでもヒルトは感じていた
2度みたジェイクの夢はただの夢ではなく、インドリームの力が意図的に見せている光景だと。
「俺は、この世界には炎のインドリームは存在していないと思う」
「ーーーーー」
「・・ヒルト、続けろ」
「うん。
最初に見た夢はある少年が炎の中で力に飲まれて暴走し、同じくらいの歳の少年を殺そうとしていた光景だった
俺は炎の中を走って、半殺しにされていた少年に手を伸ばした。
夢はそこでおわって、気がついたらジェイクが飛行船から抜け出して廃墟に向かってたから、追いかけた。
次は、ジェイク本人が俺の首を締めながら、本物のインドリームになるために俺が邪魔だって言ってた。」
「それが、ジェイクがインドリームじゃない理由とどう関係あるのよ?
そもそも、ジェイクが自分の意思でそんな夢を見せたとでもいうの?」
「そこなんだよ、アラン」
「?」
ヒルトはまっすぐアランを見つめたまま、揺るがない眼差しで話し続ける
「これはジェイクの意思じゃない。
ジェイクが使っている炎の意志が見せた夢なんだ」
「炎の意志が?
あいつがインドリームじゃないなら、その意志を持つ炎は何?」
「炎自体はインドリームの力だ。
けど、それはジェイクか本物のインドリームから無理矢理奪い、使役している・・・
だから炎が自らの意思でジェイクから離れようとし、俺に真実を伝えようとしたーーーーー。
ジェイクが二重人格みたいになるのは、インドリームの力が薄れてきてるからこそ、浮き彫りになっている証拠だ」
ヒルトの言葉に誰も返せなかった
話している事が全て、矛盾はないからだ
インドリームとなるには、使役する自然から選ばれる必要かがある
それは同時に、己が持つ種族のエレメンツの加護が備わった存在。
加護がなく、選定された人物でもない者がいたとすれば
肉体や精神にかかる負荷は計り知れないだろう
「ヒルト、あんたはこれからどうするの?」
