第12章 炎の意志
「幻術ってどうやって?」
「陽炎を人工的に作り出し、更に違和感を覚えないように
リラックス効果が付与された結界をつくます」
「なんか、大胆な事考えてそうね
まぁいいわ、協力するわ」
ユリエフとアランを目を合わせ、簡単な会話だけで全てを合意した
仲間を信じる心を持つものだからこそ、詳しい打ち合わせなどなくとも合体技を繰り広げられる
インドリームではないクライヴでさえ、ユリエフとアランなら成し遂げられると理解していた
「ーーーヒルト、作戦を立ててくれ
ジェイクを探す事を優先するのか、それともローランの行方を追うのか?」
闇の渦から銃弾を浮かせて呪文を唱えながら
クライヴは合間に語りかける
「・・・まずはクライヴ、その弾丸の解析を進めてくれ
第一優先はローランさんの救出だ。」
「ローランさんを助けてくれるの?」
「あの人には命を救われたし、それ以前に危険が迫ってるのにほってはおけない。
・・それに、ローランさんとジェイクが接触しちゃいけないと思う」
ヒルトは俯きながら憂鬱な表情で話し、拳を握りしめる
アンリにとってみれば、何故ヒルトがここまで下向きな気持ちなのか見当もつかず、静かに様子をみている中、ユリエフが先に声をかけた
「まさかヒルト君は、ジェイク君の正体がわかったのですか?」
「うん、いや・・これは俺の憶測だけどーーーー」
一息つき、深呼吸した後にはっきりと誰もが聞こえる声で話す
「ジェイクは、インドリームじゃない。」
「!?」
誰もが硬直しただろう
ヒルトの口から放たれた言葉は予想を反するもの
憶測だとしても、自信が心の底にある声
察していたクライヴ以外、次々と動揺の声がこみ上げられる
「ジェイクが・・・なんですって?」
「インドリームじゃないんだよ、アラン
あいつはきっとーーー」
「そんなわけないっ!
あたしはずっと前からジェイクと一緒に過ごしてたわ!
何度もあいつの炎のインドリームの力で助けられた!
あれは偽物なんかじゃないくらい、わかるわ!」
「アラン、落ち着け」
「クライヴ?」
「ヒルトの話はまだ終わってない。
それに、ローランが炎を作り出し俺の闇を消した光景お前も見たはずだ」
「ええ、みたわよ。
けど、あれはインドリームの力の半分を持ってると考えられない?
あれだけでジェイクが偽物だって決めつけるのは早いわ!」
