第12章 炎の意志
だが、そこに映った光景にクライヴは目を疑う
マシンガンは自動でクライヴを追従し、引き金を引いたヴァンは姿を消していた
「この銃撃の中でいつの間に?!」
「そりぁ、引き金と同時だ」
「?!」
クライヴは死角から奇襲するつもりだったが、逆にヴァンに死角から逆襲され、背後からする声の方へ振り向いた瞬間、鋼と炎を纏わせている拳が目前に迫っていた
とっさに両手を重ね、受け身の姿勢で急所を守る
だが、勢いは想像以上であり、そのまま数メートル吹き飛ばされた
「っぐ!」
「どうしたぁ?!
そんなところで昼寝かぁ!?」
小指を動かすだけでマシンガンを遠隔操作し、倒れるクライヴに目掛けて連射していく
「闇よ・・――――」
「いいや、終わりだ」
クライヴが次の攻撃をする前にヴィンは指を鳴らす
その直後、クライヴは右手の感覚を失い、同時に宙に舞う黒く濁った血飛沫と見慣れた自分の腕を目で追う
何が起きたのか思考がついていけず、落ちていく腕が地面に落ちた瞬間、激痛と自信の叫び泣きだった
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああっっっ!!!」
「ク、クライヴ君!!」
クライヴの闇の力は腕を吹き飛ばされた激痛と同時に解かれ、闇の巨人もローランを守っていた水晶体も解消され、消え去る
すぐにローランはクライヴの元に駆けつける
「止血をっ!」
持っていたバックから包帯を取り出そうとする
だが、その手は硬直してしまった
正確には、クライヴの傷口に寄生するように住み着いている闇の寄生虫の数に寒気を感じて思考を停止したのだ
「っ・・・あがっぁぁぁ・・」
「どうだ、お医者さん
闇族の王子様のイカレタ体の中身見るのは初めてだろ?」
「な・・・んだ、これは・・・
こんなものを宿しているなんて・・生者の肉体ではありえない」
「そうだろ?
けど、ご安心を。
こいつの肉体は闇の神が創った特製もんだ・・片腕を吹っ飛ばされても数時間で再生するし、この寄生虫のおかげで天族やインドリームの力を受けなきゃ死にはしねぇんだ」
ヴァンはローランの背後に立ち、囁くように話し、マシンガンを二丁の銃へ変形させる
「まぁ見てな」
右手に持ったリボルバー式の拳銃はクライヴの両足に向けられ、それぞれ2発づつ打ち抜かれる
「があ゛あ゛ああぁぁ!」