第12章 炎の意志
「狙いはローランか?!」
「あたりぃ。
もちろん、こいつが自ら進んで俺についてくるっているなら傷つけはしねぇがな」
「ふざけるな。
お前達の思い通りにはさせない!」
クライヴは闇を凝縮させ、闇の剣を造り上げる
空中に舞う闇の剣は闇雲に攻撃をするのではなく、ヴァンの肉体のみに命中をしぼり、高速回転しながら襲い掛かる
「ほぉ」
咥えていた葉巻を左手でつかみ、口の中から灼熱の炎を吹き出すヴァン
「ちっ!」
クライヴは自信を犠牲にし、炎の中飛び込んでローランを連れ、扉を打ち破る
木造の扉は簡単に打ち破られ、直後にローランの病室から爆発が起きる
「なんて爆発だっ!
こんなことを街の中でされたらっ・・」
「ははははは!
こんな時まで他人の心配してるのかよ、お医者様。
お前は本当に愉快な脳みそしてんだな!
もしや、それもインドリームの力の影響か?」
「!」
「型が合わない魔力を体内に宿すだけでも肉体は朽ちるってのに、お前はその力を何度も使用し、火族の捨て駒兵と過ごしてきた。
だが、そんな都合のいいことばかりじゃねぇよな?
例えばその体、もう高齢者と同等の脆さだ
寿命もつきかけて心も侵されてんだろ?」
「―――――」
爆炎の中、ゆっくりと機械音をたてながら義足で近づくヴァン
その話にローランは何一つ言い返せなかった
「現実は残酷だねぇ
お医者様は他人の命を救えても、自分の命も心も救えねぇんだ。
おまけに秘密事にしたいのは、あの付き添いの娘・・あー、アンリ、だっけか?
そいつににバレたくないから、だろ?」
「!」
「あの娘も何にも知らねぇとは可哀想なもんだ
まさか人生で2度も信頼している男から知らない間に捨てられるとは思ってもいねぇだろうに。
もしや、お前、あの娘がどんな仕打ち受けて捨てられたか知らないで―――」
「それ以上、アンリのことを話すな!!!」
喉ぼとけが引き裂かれるような声量で遮るローラン
たった一声上げただけだというのに、額には大量の汗と
肺から口、鼻孔にかけて大きく空気を吐きだす
「はぁ、はぁ、はぁ」
「・・下がってろ、ローランさん
あいつは本当に危険だ」
ローランの前に立ち、大鎌を両手で握りしめながら闇を纏うクライヴ
「なるほどな、お前のことは少し闇の神から聞いていたが、話通りの存在みてぇだ」
「なんだと?」
