第12章 炎の意志
「調査へ向かうのはヒルトが目を覚ましてからでもいいだろう
ここからはリーダーの判断が必要になるからな」
「私も、クライヴ君の意見に賛成です」
「だったらまだ時間があるようだね」
ローランは全ての荷物をまとめ、机に置くと腕時計を見つめる
「これから調査に同行させてくれるなら、僕もそれなりの道具を用意しておきたい
一度、僕の病院へ戻って支度を整えて来てもいいかな?」
ローランの提案にユリエフは少し考え込む
ここでローランを単独で行動させるのは危険ではないか、とーーーー。
「だったら俺が同行しよう」
「!
クライヴ君・・」
「複数で固まって動くのも危険だが、かといってローランを1人にさせるわけにもいかない
あくまで俺達は協力関係にある
だったら、お互いの要望に沿うように動くのが賢明だとおもうが。」
「・・わかりました
いつ、どこで敵が現れるかわからないのですから」
「わかっている
さぁ、行こうか」
「感謝するよ、クライヴ君
僕の病院はここから少し離れているが、1時間程で戻れると思う」
クライヴとローランは宿部屋を出て行き、静まり返った部屋の中で深く眠りにつくヒルトを見ながら溜息をつくユリエフ
「ご苦労様、ユリエフ」
「ここの所休めてないよね
大丈夫?」
アランとイリヤの気遣いに対して、ユリエフは無理に作った微笑みをむけ、何とか問題ないことを伝えようとする
「俺も流石に心配になるぜ
無理するなよ?」
「皆さん、ありがとうございます
無理なんてしていません・・・ですけど、仲間が危険な状況にあっているのに、ゆっくり休むわけにはいきません。」
「それはあたし達も同じよ
だから心配なの。
アンタもヒルトもクライヴもそうだけど、自分は大丈夫って言い切って一人で何でも背負いこもうとするでしょ?
たまには仲間を頼ってよね」
アランは別のベットから大きめの亜麻布を手に取り、ユリエフに被せた
「ア、アランさん?」
「そこの椅子に座ってるだけでもいいから、休んでなさい
クライヴ達が帰ってきたらちゃんと声かけるから。」
アランの心遣いにユリエフは改めて心からの笑顔を浮かべ、椅子に座り静かに頷き目を閉じた