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IN DREAM2

第12章 炎の意志




「あっ・・・がはっ・・」

ヒルトは全身を痙攣させながら声と意識を失っていく

「今だ、ライセイ君」

完全に意識を無くした瞬間、ローランはライセイへ次の処置を促した
心臓が止まらないように電流を与え、魔力にも刺激を与えようとする処置だ

「っ・・・ヒルト、頑張れよ!」
苦し紛れな表情でライセイは両手に溜めた電力を一気にヒルトの胸部に押し当てる

ビクンッーーー

大きく体が動く
既に意識を失っているヒルトの体は重く、早々に動かせれる状況ではない
それでもライセイの力の影響で一定期間に体は動き
弱っていた心臓の動きも正常になっていく

「ーーーよし、順調だ
もう彼を拘束する必要はない」

額から流れる汗を袖で拭き取り、希望に満ち溢れたローラン
同時にヒルトの体を押さえつけていたクライヴやユリエフ、アラン、イリヤ、ライセイはヒルトから離れてお互いを見つめつつ
誰がローランへ不安を打ち明けるか様子を見ていた

「魔樹を吐き出すまで、想定でどれほどだ」

「恐らく5分もしないだろう
何か言いたそうな感じだね、クライヴ君」

真っ先に言葉を切り出したクライヴに対し、ローランは言葉を冷静に返した
「君達が思っていることは想像つく
この治療で本当に問題ないのか・・そうだろ?」

「そうだな
ここまでしてもらっていてあつかましい話だと思うが、俺達は医術の知識に乏しい。
本当にこれで成功するのかと疑う気持ちはあるが、聞きたいのはそんなことじゃない」

クライヴはローランを見つめ、淡々と話していく

「魔樹という毒は火族の古来に生み出された秘密兵器の1つであり、俺やユリエフ、それに他の火族も解毒方法を知らない代物だ
例えあんたが考古学者と医者の二面性を持っていたとしても、そう簡単に解毒剤を作れるとは思わない
仮に、魔樹が他の人間にもかかり、そいつをローランが治したという経験があったとすれば、あんたはどうやって解毒剤の調合をした?
その机に並べられている本は医術の内容だが、魔樹を解く解毒剤とは繋がらないものばかりだ」

「・・なるほど、つまりクライヴ君は証明してほしいんだね
僕が裏で火族と繋がっていないのか・・敵ではないのか、と。」
「そうだ。
医者としてのあんたは一流だが、隠し事が多い
まだ会って浅いのもあるが、今ここで白黒つけさせたい」


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