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IN DREAM2

第12章 炎の意志



「ヒルト君、怖がらず僕を見てほしい」

ローランは白い手袋をはめ、ヒルトと正面に立ち、しっかりと目を合わせる
その表情は、先までの取り乱しローランではなく、一人の医者が患者に向き合う姿勢だった
「・・・」
ヒルトは恐る恐るローランに顔を向け、深呼吸する

ローランの右手はゆっくりとヒルトの首元に触れ、脈を図りながら左手で握る小瓶を開け、ヒルトの鼻孔に近づける
「この小瓶からは香りは感じるかい?」
「・・・感じる・・。
甘い・・香り・・」
虚ろな表情でヒルトは口だけが動き、ローランの質問に答える
「そうか、やはり君が侵されている毒は〝魔樹〟だね」

ヒルトから少し離れ、テーブルに多種多様な薬瓶を並べていくローランに対し、ユリエフは肩からかけていたマントを外し、袖をめくって横に立つ
「ローランさん、私も手伝いますので、詳しく教えてください。
魔樹とは一体何なのですか?」

「魔真薬という火族の暗殺部隊だけに伝授される猛毒で、それにかかった者は魔樹と呼ばれる症状が発症する
脚の筋肉、全身の筋肉、脳の順番に麻痺させ、最後には息の根を止める作用を持つ
傷口から浸食するのが主だが、使い方によっては毒ガスにもなりえる代物だ」
「では解毒剤も存在しているということですね?」
「もちろん。
君たちと会う前に、僕は遺跡で解毒剤の材料となる火粉を見つけた
本当にタイミングが良かったよ」

ヒルトに匂いをかがせた小瓶をユリエフの前に置き、ローランは解剖学と解毒剤の調合本を重ねて開き、机の上はローランの道具であふれていく

「彼は火粉の匂いに反応し、拒絶反応はなかった
だとすると、これを聖水で希釈し、直接傷口に塗ることでより早く効果がみられるだろう。
必要なのは光の力が付与した聖水と火粉と、2000ボルトまでの電流だ・・火粉は僕が調合するから、あとは―――」

「俺とアランとユリエフの力があれば、必要なものは揃う
そうだろ?」
「そうね、あたしが水を造り出し、ユリエフの光を付与して聖水を造り出す。
ライセイは電流の固めて2000ボルトを凝縮させれば完璧じゃない」

ライセイとアランはインドリームの力を屈指し、それぞれ自然を手のひらに作り出していく
「なんと心強いんだ。
よし、僕の合図でヒルト君の治療を始めていく
準備はいいかい?」
「ええ」
「問題ありません」
「いつでもいいぜ!」



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