第12章 炎の意志
クライヴは包み隠すことなく、ありのままの状況をローランへ説明した
火族のインドリームが裏切り、ヒルトに猛毒を仕込んだこと
そしてヒルトの毒を取り除けるのは火族の医者であり、遺跡調査をして火族の歴史に詳しいローランだけだと。
そして、ローランが炎の能力者であることも指摘した
「――――――なるほど。
僕を探し出したのは適切な対応だと思うよ
けど、僕が炎の能力者であることについては、詳しく話すつもりはない。」
「そうだな、今は炎の能力よりもヒルトの体のことが優先だ
一時的に毒は抜き取っているが、安心できないな」
「クライヴの言う通りだぜ、ヒルト。
身体の調子が少し良くなったからって、ずっと話してると毒の周りが早くなるかもしれないし、今は喋らず寝とけよな」
不安気に話すライセイとクライヴに対し、ヒルトは苦笑いをし、気まずそうに目線をそらす
「・・ヒルト君、少しだけ、先に君の容態を確認しておきたい
火族の猛毒といってもいろんな毒がある
その中でも強力なのは・・・――――」
ローランはヒルトの脈を図ろうと、右手に触れた
だが、その時、体の全身から脳の奥に響くような電流が流れる感覚に襲われ、多くの場面がフラッシュバックする
炎に包まれた町の中、死体の山の上で青髪の青年の首をしめあげる光景
火族の軍旗が掲げられ、黒いコートに身を包んだ者達が円状に立ち、鎖と魔術で拘束した少年に呪印を刻み、生きながら皮膚と魔力を剥がしていく光景
そして剥がされた皮膚と魔力はすぐ隣で人形のように座り込んでいる別の少年へ注がれていく光景
そして、最後には青髪の青年が拷問台に拘束される光景
悲惨な光景がローランとヒルトに流れ込み、お互いが触れていた手を振り払い、警戒と疑いの目になる
「っ・・」
「な・・なんだよ、今の?」
「?
どうしたんだよ、二人とも」
「・・・・」
何が起こったのかわからないライセイはローランとヒルトを見るが、双方の目は一時的な敵意をむき出しており、ライセイの声に反応しようとはしなかった
「さて、アンリさんの容体はよくなりました
今は眠っていますが、時機に目を覚ますと思いますよ・・・・って、どうしたんですか皆さん?」
アンリの治療を終えたユリエフとアラン、イリヤが部屋に戻り、張り詰めた空気に戸惑う