第12章 炎の意志
「俺さ、ジェイクが一人で飛行船から離れて遺跡の中へ入る前に、夢をみたんだ」
「夢、ですか?」
「うん。
見た事のない場所で闇族やいろんな種族の人間が焼き尽くされて、その死体の頂上にジェイクが立ってた
それからすぐ近くにいた青髪の青年の首を締め上げてたんだ
俺は青髪の青年が誰なのかわからない
だとすれば、あれはジェイクの過去の断片じゃないかな」
「―――その夢を見たのは、火族特有の共鳴力の影響だと考えられますね」
「共鳴力?」
ユリエフはヒルトが理解していないことを悟り、光の球体を炎に形造るように変形させ、説明した
「火族が持つエレメンツは炎。
その特徴は戦や強靭な生存本能もありますが、中には炎が移る力を具現化させた共鳴力という能力もあります
共鳴力とは、自身が体験したことや見た事、知った知識、理念や考え方を相手の意識の中に伝授する力です」
「・・テレパシーのようなものって思えばいいのか」
「そうですね、ただ、テレパシーと違うことは、火族どうして共鳴力をぶつけ、どちらかが負けると、負けた側の思考は奪われ、相手の洗脳を受けてしまいます。
幸い、ヒルト君は風族ですから、ジェイク君の意識に飲まれることはありませんでしたが。」
光の炎を二つ作り出し、双方が激しくぶつかり合い、一方が消え失せると、勝った炎が相手方を食らいつくす
「私のこの光は共鳴力を炎にしてわかりやすくしましたが、実際は目に見えない力ですし、とっても危険です・・それをジェイク君がヒルト君にしたということは、何かを伝えたかったか、それも火族としての任務だったのでしょうか」
「俺は、何かを伝えたかったんじゃないかなと思う。
もしかすると、あの青紙の青年が何か握っているのかも!」
「でしたら、クライヴ君や皆さんが帰って来てから考えましょう
ですが、まずはヒルト君の治療が先です」
ユリエフとヒルトの会話の中、錆びた鉄がきしむ音が狭い宿屋の入口から聞こえた
「ユリエフ、待たせたな」
「大丈夫か?」
「クライヴ君、ライセイ君?!」
「ユリエフ、あたしとイリヤもいるわよ」
「やっほー、さっき宿屋の入口でクライヴとライセイと合流したんだよ」
「皆さん!
無事でよかったです」
「あぁ。
あと、お前が探していた鍵となる人物を探してきたぞ」
クライヴは部屋の中に入り、そのままローランを前に出す
