第12章 炎の意志
「そうだな、一族を背負い、期待される重荷は俺だって味わってきた。
お前が龍族の皇子として正しく在りたいと願い、いつか内側に眠る負の力をコントロールさせたいと思うなら、俺は力になる」
「クライヴ・・お前・・」
「まぁ、皇子らしくない口の悪さを何とかしてからだな」
「なっ・・はぁ?!
それとこれとじゃ関係ないだろ?!」
「フッ、どうだろうな」
鼻で笑いながらも、その表情は優しく、微笑ましく語り合うクライヴとライセイ
そんな中、クライヴは進める足を止めた
「ライセイ、あれを見ろ」
「!」
うつ伏せになって倒れている人影は背中に砂が被さり、重く動かない
「おい、大丈夫か?!」
すぐにかけよったライセイ
まずは赤髪の少女を担ぎ上げ、生死の確認をするために脈を図る
「・・・うっ・・」
少女は僅かに声を出すが、至る所に火傷の跡があり、服もボロボロの状態だった
「クライヴ、ひとまずこの子は生きてる
そっちの白髪の人はどうだ?」
「ーーー・・・
少し、まずいな。」
クライヴは虫の息をする男が不安定な脈であることを確認し、黒雷を作り上げ、心臓にショックを与えるために男の胸部に僅かに押し当てた
ビクンっとする動きと共に、男の目は勢いよく開き、飛び上がる
「アンリっ!!」
大声で少女の名前を呼び、飛び起きた男は勢いが強すぎた反動で咳き込み、鮮明に意識を取り戻した
「あっ・・・」
膨大な砂漠の中、男は自分が最後にいた場所と違う所で意識を取り戻したことで、状況把握に戸惑う
「ここは・・遺跡ではない?」
「ここはカレッツァ街から5キロ離れたフラン砂漠だ」
「!」
「お前はこの少女と倒れて虫の息だった
だから心臓にショックを与えて、俺が目を覚ませたが・・察するにお前が火族の医者ローラン・ブラシェフか」
「そ、そうだが・・君は?
闇堕ち?」
「クライヴ・ベネディクト。
そっちの金髪はインドリームのライセイだ
俺達はお前と護衛の少女を探していた」
クライヴは警戒するローランに歩み寄り、肩についていた砂を叩きながら話す
ローランは倒れているアンリを抱きながらこちらを見つめるライセイと、闇堕ちでありながら不安定な闇の瘴気を感じ出さないクライヴを冷静に見ながら深呼吸した
「君達が助けてくれたのか。
感謝するよ」