第12章 炎の意志
「使い捨てた?
それってもしかしてーーー」
「心当たりがないなんて言うんじゃねぇぞ!
暗黒戦争以前から雇われてた俺達を囮にして、最後は使い捨てたクソ野郎!
お前と同じように、あの男も瞳を黄金な光らせてた・・それも思い出した・・まるでお前と瓜二つなんだよ!」
「・・・・」
大男は足をフラつかせながら酒場から逃げ出そうと、背中を向ける
だが、すぐにライセイの電撃が全身に走り、下半身が麻痺してその場に倒れこんだ
「がっ」
「逃げてんじゃねぇよ
賭けは俺達が勝ったんだ、医者のことを教えろ
あと、あの男っていうのは龍族の第一皇子の事を言ってやがるのか?」
「第一皇子・・そうだ、あの男は自分がそうだとも言っていた
けど、そんなのは飾りだ!
あの男は全てを喰らう邪龍だよ!」
「邪龍?
あいつ・・トレイタスはもしかして」
「ライセイ」
「!」
ライセイの名を呼ぶ方向には二人の男を引きずり、投げ飛ばすクライヴだった
「この二人が医者のことを吐いた
そこの大男はもういいだろう
賭けに負けようが、はなから話すつもりはなかったようだ」
「待ってくれクライヴ
こいつ、トレイタスの事を知ってるかもしれないんだ
だから」
「ぐぇ」
「?!」
大男はもがき苦しみながら首に短剣を突き刺し、自害した
その声は死を伝えさせるそのものであり、あまりの短期間のことでライセイは戸惑う
血をと泡を口から吹き出し、全身を痙攣させる
「・・なんで・・」
「ライセイ、そいつは助からない
もう行くぞ」
クライヴは大男に目もくれず、酒場から出て行く
「ちっ・・あと少しであいつの情報が得られそうだったのに」
ライセイはあと一歩で届かなかったことに悔しがりながら
どこにも当てようのない怒りを胸に抱き、クライヴの後を追った
酒場から人気がなくなり、息をかすかにする大男の前に
先まで冷たく目も合わせなったバーテンダーが立った
「まったく、呆れますね
あの時の生き残りがまだいたとは。」
「?!」
どこにでもいそうなバーテンダーは自らの皮膚を引きちぎり、その中から本性を見せていく
薄く輝く金髪はウェーブがかかり、肩まで伸びた髪を揺らしながら清々しく目を開けた
右目は赤く、左目は紫色に染まったオッドアイ
凛とした顔立ちはどこから見ても完璧な容姿を持つ男