第12章 炎の意志
アランとイリヤが井戸の問題を解決する数時間前―――――
ライセイとクライヴは酒場に集まる火族や盗賊達に囲まれていた
「お前、今なんて言った?」
スキンヘッドに炎の入れ墨を後頭部に大きく刻んだ大男は
自分より半分以下の身長のライセイを睨み付け、左手に持っていた樽のグラスを丸いテーブルに叩きつけた
丸い木のテーブルが複数並べられ、高級な色とりどりの酒瓶が並ぶ酒場に来ていたライセイとクライヴ
酒場では昼間でも関係なく酒に入り浸れている火族の男や女達が盛り上がっていた
「だから、俺たちはこの街に滞在している医者の事を聞きたい
けど、只じゃ話にならねーから、そのコップに入ってるジュースの飲み比べをして勝負しようぜって言ってんだよ」
喧嘩腰で話すライセイが話したジュースとは純正のアルコール度数40度の酒であり、大の男でも簡単に酔いが回る代物だ
まだ少年であるライセイでは飲めるはずもないものを、見下げた気持ちを込めて、あえてジュースと言ったことに対し
男達の反感はすぐあった
「てめぇ、ガキのくせに生意気なんだよ
酒も飲んだことねー歳のくせにな。」
「親分、調教してやりましょうよ」
「そうですぜ、何者か知りませんけど、こんなガキ、5秒で終らせれますよ」
盗賊と思われる男達が集まり、ライセイを囲んでいく
「てめぇら、このガキに大樽の酒を用意してやれ
口だけの意気がっているガキに俺が躾けてやる。
ついでに、そこの闇墜ちのガキも連帯で責任とってもらうぜ」
大男が指を指した先は、酒場の入り口で冷たい目で見つめていたクライヴだった
「これは賭けだ。
あの闇墜ちのガキと俺の部下を戦わせる
俺の部下全員を戦闘不能にさせられ、且つ、俺よりも多く、早く酒を飲めればてめぇらの勝ちだ。
闇墜ちが一人と戦う時間が制限時間とみなす
・・どうだ?」
リーダー各の大男が話終えると、ライセイは鼻で笑いながら肘をついて小馬鹿にしながら話し、隣の席に腰を落とす
「シンプルでいいね
そういうの、俺はいいと思うぜおっさん
好きなだけ酒もってこいよ。
俺は負ける気がねぇ・・俺たちが勝てば洗いざらい話してもらうからな」
「ククク、受けて立とうぜ」
大男とライセイの机に大量の酒が入ったグラスが並べらる
そして冷静沈着に酒場の前で構えるクライヴに
一人の火族の男が鉄の鞭を腰から取り出しニヤリと笑う
