• テキストサイズ

IN DREAM2

第12章 炎の意志




警戒で満たされた声と、狂犬のような表情は
先まで感情を一切見せなかった少女とは別人であり、戦士そのものの立ち振る舞いだった

「失敗作が新しい主人を見つけ、
火族の事を探っている情報は本当だったみたいだな」

青年の声は遺跡内で広く響き渡り、崩れ落ちた瓦礫の上に姿を現わす
その胸の中には火族の紋章が大きく印字され、青い短髪をなびかせ
顔を包帯で隠している青年
そしてその隣に立つのは、漆黒のフードで素顔を隠し、最も危険な魔力を秘めていた存在
アンリは目の前の2人が敵であり、遺跡を目の前で半壊させた犯人だとすぐに理解した
どうじに、青髪の青年よりも隣に立つフードを被った存在の方が
一番に警戒すべき存在だとも悟る

「火族の暗殺者・・
外れ者のあたいを殺しに来たんですね?!」

「まさか。
そんな暇じゃねぇよ、俺らは。
用はこの遺跡の破壊であって、お前みたいな失敗作なんて興味も何も無い・・が、失敗作如きが俺らに剣向けるなんて、躾がなってないな
ここで殺して、その生首を遺跡の入口に飾っといてやろうか」

「ちっ、そんな事させないです
あたいはまだ死ねない」

「それはどうかな?
お前にこいつの動きが見えてるのか?」

青年が不気味な笑みで話す中、アンリは左視界にいつのまにか迫っていたフードの青年に気付き、咄嗟に左手を曲げて頭部を守る
相手の右拳は簡単にアンリの左手の骨にヒビを入れ、同時にもう片手で溝打ちを射ち放ち、二重の打撃を与えられたアンリは
声を上げることもなく口から嘔吐し、後方に下がっていたローランの元へ転がり倒れた

「っ・・う゛え!」
胃の中に残っていた残留物を吐き出し、腹部を抑えるアンリに
フードの青年は黙って歩み寄る
「アンリ!?」
「ぐっ、うぅ・・・」
ローランは頭差に倒れるアンリの背中に手を当て、必死に安否を確認する
だが目前にはフードの青年が立っており、片手から浮き上がらせた炎を膨大に膨らませていく

「ーーーそんなことはさせない」

ローランは青年の腕を掴み、魔力を練り上げていく
その直後、膨れ上がっていた炎は消火され、フードの青年の腕に激痛が走った
「っ?!」
「僕は炎の力を宿している
君達がこれ以上、僕の大切な人を傷つけるなら
それ相応の処置を取らざるを得ない」



/ 821ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp