第12章 炎の意志
「いい加減にしてください!」
ユリエフの一言は、クライヴとライセイの言い合いを止めるのに十分程の大声だった
「ライセイ君、仲間が突然襲いかかってこれば混乱するのもわかります
ですが、その不安をクライヴ君に当てないでください」
「えっ、あ・・悪い」
「クライヴ君も、今回の事とライセイ君の右手は関係ありません
余計に自体を混乱させないで下さい」
「・・・すまなかったな」
ユリエフは静まり返った部屋で、深く深呼吸したまま地図を広げ、1つの街を指差した
「カレッツァ街。
ここへまずは避難して今後のことを考えましょう
まずは、ヒルト君の体に残っている毒を完全に解毒するための情報収集。
その後のことは、ヒルト君が回復してからにしましょう」
「あたしはユリエフの意見に賛成ね
こんな砂漠の中で考えてもどうにもならないようだし。」
「ありがとうございます、アランさん
皆さんはどうですか?」
「1つ質問!」
右手をまっすぐ上げて挙手したのはイリヤだった
「カレッツァ街での情報収集はジェイク君のことじゃなくて、火族が使う毒の解毒方法だよね?
そんな重要な情報、イリヤ達が聞き込みして教えてくれるかな?」
「そうだぜ!
それにカレッツァ街は火族と関わりがあった人間の集まりだし
盗賊が多いってきくぜ?
そんな場所でヒルトを休ませて大丈夫なのか?」
ライセイとイリヤの問いに真っ先に答えたのは
ユリエフが持っていた地図を取り、ライセイとイリヤが立っていた壁に叩きつけたアランだった
「カレッツァ街は火族と関わりがあって、盗賊が多くても同じ人間。
そんな砂漠の中で生活すれば必ず困るものはでてくるわ」
「困るもの?
それってなに?」
「はぁー。
ねぇイリヤ、あなたは土族だからっていって砂漠で過ごしてて
水はいらないのかしら?」
「え?
そんなことないよ!」
「・・そうか
どんな種族でも砂漠に住めば水は必須!
アランの力でカレッツァ街の奴等に水を渡す代わりに、火族の情報を聞き出すつもりなのか」
「そういうことよ、ライセイ」
「なるほど!
それならいけるかもしれないね」
納得するライセイとイリヤをまとめあげ、アランは微笑み、采配をユリエフへ戻す
「さぁ、ユリエフ
後は貴方に任せるわ。
あたしはいつでも準備はいいわよ」