第11章 破滅の鐘
「拷問とはお前にとって名残惜しいか、ジェイク・バルシウス」
「・・・」
「過去に任務を失敗した時、唯一の家族と呼べる存在と共に拷問へかけられ、呪いを付与された
今では後戻りはできない肉体だったな」
「・・うるせーよ」
「なに?」
低い声で呟くジェイクに、ガウンは眉間に皺をよせる
「お前には関係ないんだよ
俺の過去も、あいつのことも。
だからーーー」
話を終える前に目の前に迫るジェイク
「なっ」
無理矢理上半身を半返しにし、撃ち抜かれる炎の砲撃を躱す
「お前を本気で殺してやるよ、破滅の鐘、ガウン!」
「ガハハハッ!
それでいい!
我々は同族だとしても戦う宿命だ!」
3メートル程の透明なキューブを作り出されたそれは
ガウンを囲いながら高速回転しながら歯車のような形へ変形していく
突起に触れるあらゆる物が削られ、消えていく
「さぁ、来い!
この結界を壊して俺を殺してみせろ!」
対してジェイクは右手に炎の剣、左手には炎の盾を作り出し構える
「殺してみろ、ね・・・
そんなに死にたいなら殺してやるよ!」
爆炎と結界の刃が交差し、中階層に巨大な衝撃波が広がる
同時に、下層ではリリースの銃撃とユリエフの魔導弓が重なり合い、激戦が繰り広げられていた
5ミリの弾丸は光の矢に砕かれ分解する
光で作られた矢は対象の悪となる万物を跡形も無く消し去り、塵も残さない
リリースは消えていく弾丸を目で追いながら苛立ちが募る
「本当にやっかいだよね、その力も、あんたの存在も!」
睨みながら話すリリースの先には己の身長と同等の大きさの弓を右手に持ち、左手には光の矢を重ねて数本持つユリエフが身構えている
「それはつまり、あなたが劣勢だと認めてると受け取れるセリフですね」
「はぁ?
どうやればそう考えれるんだよ、天族!」
尖がった犬歯をむき出しにしながら五つの拳銃を空中に浮かせ、発砲しながら仕込み刀を内袖から取り出しユリエフに襲いかかるリリース
「とった!」
光の矢で弾丸を消し去っていくユリエフの懐に入り、ニヤリと笑う
だが、刀がユリエフに届く前にすぐ背後から風を纏った大剣が振り下ろされ、腕に力を入れることより全身を転換させ、奇襲を避けることを優先させた
「ちっ」
舌打ちをしながら見るリリースの目は背後まで気配を隠して迫っていたヒルトへ向けられる
