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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




クライヴは左手から闇の魔力を放出させ、崩れゆく結界の壁に闇の雷撃を放つ

紙切れのように破られる結界は完全に打ち破られ
僅かに天使の翼が見える
結界の中で死んでいった者たちの魂が水の泡のように軽く空中に浮かび上がる

「天族の呼び掛けに応えているのですね」

アークは周囲に薄く光る魂を目で追いながら、僅かに天族を睨む

クライヴは天族に目もくれずにライアンを包んだ魂留め〈ソウル・コージング〉を縮小し、胸のポケットへしまう
「アーク、こっちだ」
崩れゆく結界の空間の中に闇の渦が巻き起こり、クライヴは躊躇なく身を投じる
アークはかつて闇を恐れながら、それでも戦っていたかつてのクライヴの姿がふと思い浮かぶ
「ーーー本当に、貴方様は素晴らしく成長されました」
過去の思い出と浸り、アークはクライヴと話したい事が沢山あったがそんな余裕はどこにもないことを知っている
歩みを進めながら僅かな満足感を抱きながら結界の外へ繋がる闇の中へ進んでいった


闇の渦の中は異空間の結界と現実世界を結ぶ狭間であり、時折結界術師のガウンの記憶も混じり合っていた
それは過去だけのものではなく、現在見ている状況も映し出される
多くの人を殺め、結界の中へ閉じ込めていく中
ライアンが殺された瞬間、そしてとある男に血のついた遺品を渡し
男は絶望に歪んだ表情を浮かべながらその場で膝から崩れていった

ライアンの魂が胸ポケットの中で悲鳴をあげているのが伝わる
ならばこの男が誰のことが容易に想像がついた
過去、ライアンが町で魔術を教えている頃の甘い思い出から、夫と決別する辛く厳しい決断の瞬間、そして破滅の鐘に殺されるまでの走馬灯のような映像が空間内に漂う
だがこれは走馬灯ではなく、全て破滅の鐘であるガウンが監視し、見てきた映像だ
他人に見られては恥じるような光景まで観ていたガウンは
ライアンを見た時から危険な人物だと目につけていたのだろう

クライヴはガウンの記憶が流れている中、とある人物と話している光景に目がつく
相手の顔に見覚えはないが、その身振りはまるでジェイクと似ていた
「・・どういうことだ」
考え込む表情は眉間に皺を寄せていく
「アーク」
「はい」
「地上に戻ればラルザと代われ。
確かめなくちゃいけないことがある」
「畏まりました」
クライヴは焦りから歩みを早め、瞳を赤く光らせ異空間の狭間を疾走した
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