第11章 破滅の鐘
「あなたは本当にお強いのね」
結界を守る巨人を相手にした後のせいか
霊体のライアンは小さく、そして怯えてるように見える
口ではクライヴを尊敬しているが瞳の奥には恐怖とどこからか沸いた希望が見えている
「あと少しで結界は壊れ、元の世界に戻れるだろう
その時、お前は死者として本来あるべき場所にいくことになる」
「そう、ね・・・。」
心残りがある表情であることはだれが見てもわかる
「―――――だが、この結界を抜けれるようになったのは
お前の力があってこそだライアン」
「!
私は何もしていないわ」
「この結界に関する情報を優先的に話し、俺たちに協力した。
たとえ死者であったとしても俺の呼びかけに拒絶くらいはできるが、そうはしなかった」
クライヴの推測は正しかった
ライアンはこうなる機会を待ち望んでいた
「魔術師として旅をしている中、破滅の鐘に襲撃され
この結界に閉じ込められた話をしましたよね」
遠い記憶を遡るためか、霊体で薄く光る目はさらに虚ろだった
「私は生前、とある港町で魔術師として魔術の研究と自警団の教育をしていたの。
そこで当時、自警団一の戦闘力を有している人と恋に落ち、結婚したわ」
「・・・」
「その港町は孤島にあってね・・国として機能せず一つの町として存在し、多くの旅人や観光客で賄っていたから魔族や外敵からの守備は住人から立候補された自警団という集団で賄い、何百年と過ごせてきたわ」
「その島はポーラル町という場所か?」
「ご存じなの?!」
「昔・・・聞いたことがある
国を作らず民衆だけで治安を守る島があるとな
闇属やその眷属たちが島にある資源を狙っていたが、なぜか襲撃をする対象とはならず、観察対象とされていた」
「それには理由があるの。
私がその理由を知ったのは、町で過ごして十年後だったわ」
ライアンは腕を朝日が昇りかける空にかざし、悲しげな表情で語る
「ずっと、町の人たちは国という圧力にすがるのではなく、各々の意思で自由に生きたいと願うからこそ自警団というものを作り上げてきたのだと思っていたわ
けど、実際はそうじゃなくただお金が欲しかったから。
だから裏で破滅の鐘とつながり、監視社会を作り上げていた」
悲しげな表情は次第に憎しみに満ちて語り続ける