• テキストサイズ

IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




「敵の狙いがユリエフなら、俺達で動いた方がまだいい
敵も二手に分かれている可能性もあるからな」
「おいおい、俺一人で街を守れっていうのかよ
そりゃキツイぜヒルト」
「大丈夫だ、もしも何かあった時はこれを。」

ヒルトは左手につけていたガントレットを外し、手首につけていた青く輝く宝石が埋め込まれたブレスレットを取り、ライセイに渡す

橙色と若草色で編まれたミサンガの中心に似合わない重金属で守られた宝石の中には
風族しか読み解けない呪印が刻まれている

「その宝石に魔力を流せば風の結界が出て周囲から守ってくれる
長くは持たないけど、それが発動した時俺に転移魔法が付与されて強制的にその場所へ転移できる
俺が死なない限り、敵の結界の中に閉じ込められても発動可能だ」

「こ、こんなすごい御守り持ち歩いてたのかよ」
「昔、お世話になった人がくれたんだ
あまり使い道がなかったから言わなかったけど
今がその時だと思うから。」

ヒルトから渡されたお守り自体、物理的に重くはない
だが、魔力の量が尋常じゃないほど詰められており
風族ではないライセイでも、このお守りを使う時に発動する風の結界がどれほど強力なのか理解できるほどだった

「あ、ありがとうなヒルト
できる限りこれは使わないように、頑張るよ」
「あぁ。
けど無理しないでくれよ、ライセイ」
「わかってるって!
敵は能力保有の亜人種・・・幼い少女でも気は抜かない」

ライセイの意気揚々とした反応にヒルトは安心したように肩をすくめ、ジェイクへ目線を移す

「ジェイク、破滅の鐘の居場所はわかるか?」
「勿論。
全部ここに入ってる」
右手の甲に刻まれた魔術刻印を眺め、ほんの一瞬だけ目をつむって黙る
「・・ヒルト、俺が先導する
ユリエフと一緒についてきてくれ」
「わかった」
「はい」
確固たる意志を感じ取る答えは行動を移すのに十分といえるものだった
「正門から行くのは目立つから
ここから行こう。
幸い街の住人は瓦礫の撤去等でこの周辺にはいないからな」
ベットで寝ているアランとイリヤ側に位置する窓を開け、ジェイクは身を乗り出し向かいの建物の屋根を飛び出す
何なりと付いていくヒルトとユリエフを見送るライセイ

「ーーー無事で帰ってこいよ」
不安に満ちる表情で眠る仲間を見つめる
そのベットの裏側に小さな盗聴器が付けられているとも知らずーー

/ 821ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp