第11章 破滅の鐘
子供を説得する親のように落ち着いた表情で話し、まとめ上げるヒルトのカリスマ性にジェイクはホッとして心の中で胸をなでおろす
「ジェイク、俺達に教えてくれ
自警団長と話してどんな要望を受け入れたんだ」
「要望は一つ、俺達を襲った破滅の鐘を倒す
それだけだ」
「倒すって、殺すってことか?」
「そういう意味だ、ヒルト」
「ーーーー俺達のインドリームの力は誰か特定の欲求を満たすために力を使うものじゃないと思ってる」
「考えてくれよ、ヒルト
俺達インドリームは世界を闇の混沌から救うためにこの力を得たんだ。
そして混沌とは魔族だけのことじゃない」
「ーーーー」
「勘違いしないでほしい!
フランシスさんは磁場の欲求を満たそうとしてるんじゃない
救ってほしいんだ、この街を!」
「どういう意味ですか、ジェイク君」
疑心暗鬼な表情で問いかけるユリエフ
「この街に住んでる住人の殆どが破滅の鐘と繋がり、常に情報を提供している
いつ、どんな奴が街に訪れ何をしたのか。
その見返りとして資金や技術力等、街に必要な物は破滅の鐘が提供していたんだ
だから一度破滅の鐘と交戦してからここに逃げ、隠れようとしても住人達が見てる限り俺達の行動は報告され狙われる
アランとイリヤが街に出てからすぐに襲撃されのはそれが原因なんだよ
自警団長のフランシスさんは破滅の鐘との繋がり自体を断ち切り、自由になることを願ってる」
「それが闇から守る俺達インドリームとどう関係があるんだよ、ジェイク」
「いいか、ライセイ
もっと先の事見据えて考えればこの街は危険なんだよ
常に闇の裏社会と繋がっていれば今回のような騒動を街の中でも平然に起こし、まずは住人から犠牲者が生まれる」
「つまり、大切な人を失ったことで人々の心に闇が生まれ、魔族になる可能性があるっていうことだな」
ジェイクの説明が終わる前に話を割って理解したヒルト
その表情は浮かないが、何が一番優先されるのか理解できている
「そうだ、ヒルト
暗黒戦争以来、この世界は心に闇を抱き、負の感情に溺れた者は種族関係なく魔族に堕ちてしまうようになった
それに、闇の神が復活してる現状だ
大陸から切り離された孤島にある街に魔族が生まれれば、闇に包まれるのはすぐだろう」
「だから俺達が先に破滅の鐘を倒す必要がある、かーーー」
