第11章 破滅の鐘
「ライセイ、入るぞ」
横に流れるように動く扉を開けるのと同時に、ジェイクは一言添えて部屋に入る
「・・・ジェイク」
ベットで寝かされ、眠っているアランとイリヤの隣で丸椅子に腰掛けていたライセイは僅かな怒りを混ぜて反応する
「容態はどうだ?」
「俺はもう大丈夫だ
けど、アランとイリヤの意識がまだ戻らない
極端に魔力を消費してるせいらしいぜ
なぁ、ユリエフ?」
「あ、はい」
ジェイクとヒルトの後ろから顔を覗かせ、不安げに答えたユリエフ
直接何か悪いことをしたのではないが、ユリエフの目は罪悪感と劣等感で満たされている
「そっか、けど皆んな無事でよかったじゃないか」
「無事だって?
本気で言ってんのかジェイク」
殺気を放ちながら黄金の瞳を光らせながらジェイクを睨みながら聞き返すライセイ
そのジェイクは心臓を鷲掴みされたような苦しく痛い感情が込み上げた
これから話す提案内容がとても今のライセイには納得してもらえるとは思わなかったからであり、どう説明すればいいか必死に考える
「てめぇが勝手に動いてインドリームのリーダーとか嘘ついて仕切ってるのは皆んな知ったんだ
説明しろよ、何考えてんだ。」
破滅の鐘との交戦後、全員の意識がない状態でついた嘘が既に漏れている
そう考えれば原因は一つ
ライセイ達の身柄を確保した兵士が何気なく話したのだろう
仮にも破滅の鐘という裏の組織と精通してる者達のはずが、こんなに口が軽くていいのか
本来であれば、フランシスの要望に添えてから謝罪を含めて謝るはずの虚言がこんな形で知れ渡れば
ただの謝罪では許してくれない
ジェイクの中でどう切り出すか必死に試行錯誤してる中、一人だけ冷静な声で話したのはヒルトだった
「ライセイ、その事はもう責めないって話ただろ?
ジェイクがどんな嘘をついてもそうせざるを得なかった状況だから・・そうだろ?」
「え、あぁ」
「それに、勝手に宿から抜け出したとしてもそれは俺達を助けるためだった
あの瞬間、ジェイクが来てくれなかったら俺の力が暴走しかけて
街にもっと被害が出てた可能性だってあったんだ」
「それはそうだけど・・・」
「納得がいかないなら、今回の事が落ち着いてから2人で話せばいい。」
「ちっ
わかったよ」