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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




「悪い、フランシスさん
ヒルトと他の仲間と一緒に話をさせてくれ
あんたの要望はおれ一人でも達成させるから」
「いいだろう。
少しだけ時間をやる・・行け」

「ありがとう
ヒルト、ユリエフを呼んでライセイ達と合流しよう
一度状況を整理して話せば、お前だってわかってくれる」
「あ、うん・・・」


「ほかのインドリームが休んでいる病室は突き当りの奥部屋だ
・・・前向きな返答をまっているぞ」

「わかってる」


ジェイクは治療に専念しているユリエフの側に行き、ヒルトを連れてライセイ、アラン、イリヤがいる病室へ向かっていった

医療班で行き交い、慌ただしい人混みに紛れて姿が見えなくなると
フランシスの隣で立っていた一人の兵士が不安げに口を開いた

「フランシス様、あんな奴らに任せてよいのですか?」
「ーーー任せるしかない。
お前も破滅の鐘と深く関わり、そしてその本性を知っているはずだ
私の信じる夢を共に叶えたいと願った同士であれば、余計な。」
「はい、ですが取調室でどのような話をしていたか我々には聞こえませんでした。
なのでーーー」

沈黙する兵士をフランシスは目を合わせることなく、マントをなびかせて来た道を戻ろうと歩き出す

「ど、どちらへ?」
「今回の件で一時報告書をまとめあげなければいけない。
お前は解剖結果を仲間達に周知し、3時間後に私の部屋まで来い
次の指令は追って話す」
「かしこまりました」


医療室の中を歩き、亡骸を抱きながら泣く一人の青年が目にとまる
薬指にはまだ新しい指をはめている
そして、その抱き寄せている亡骸の引きちぎられた片腕の薬指にと同じ指輪がはめられていた

「っ・・・」

古い記憶が蘇る
かつて、妻を殺められ、遺品の懐中時計を握り締めながら泣きすがる過去の自分
絶望という負の感情に満たされたあの瞬間は
何年経っても身にしみついている
愛する者を無くした際、己が闇に堕ちなかったことが奇跡と言える
あの日からフランシスは他人を信用せず、己のみを信じて生きてきた
志を共にするといった兵士にすら、表だけの仲間意識を出しているが本心では微塵も仲間だとは思えないのだ
だが、夢を力とするインドリームだけには
夢も信頼もかけていいと思った
ヒルトが破滅の鐘と交戦している時の瞳は間違いなく、他者を救うために持つ真実の心だとフランシスに気づけたのだった

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