第11章 破滅の鐘
「・・そっか」
ため息をつき、ジェイクは右手に刻まれた刻印を見つめ
ヒルトも刻印へ目が移る
「ジェイク、それは?」
「俺たちが行かなくちゃいけない場所だ
ヒルト・・ユリエフを連れて俺と来てくれないか」
「来てくれって、どこに?」
「決まってるだろ、破滅の鐘と戦うんだ
あいつらを倒さなくちゃ、いつまでたっても俺たちは狙われ、この街の犠牲者も出続ける」
「けど、この人たちは俺の力が強すぎたせいで・・」
「それだけではない」
「!
フランシスさん」
重い鎧を身にまといながら、長い前髪を掻き分けながら話すフランシス
「君と話すのは初めてだな、インドリーム、ヒルト・クローズ」
「どうして俺の名をーーー?」
「先の戦いで破滅の鐘の肢体を調べ、そこから君の情報を抜き取った
要は、奴が持っていたインドリームの情報は全て抜き取ったのだ」
「そんなことができるのか?」
「私は魔術に少しばかり精通していてな
複雑な術だが、ある程度の技術を持っていればできることだ」
自信を持ちながら話すフランシスの確固たる意志を宿す瞳からは
嘘偽りが感じられない
「じゃあ、おれ以外の仲間達のことも知ってるんだな」
僅かな苦笑を浮かべながら問うヒルト
フランシスの反応は予想通りであり、黙って頷く
「だが、各自の名前と破滅の鐘が誰を狙っていたかーーーー
それくらいしか抜き取れなかった
だから必要な情報は炎のインドリームからきき、彼は私の要望を受け入れたのだ
君が彼の仲間なら、こんな所で他人の治療をしているより君も私の要望を受け入れる必要がある」
「けど、ここの人達が傷ついたのはおれの責任でもある!
この人達を放ってはおけない」
「それをすれば償えるとでも思ってるのか?」
「え」
「貴様は人々の傷を癒せばそれで良いと?
そうであればとんだ生温い考えだ・・笑える」
重圧的な空気がフランシスからヒルトへ流れ、心が押しつぶされるような感覚に襲われる
「私が求めることに応じてやっと、お前達インドリームは許されるのだ
本来であれば被害に遭った者達の治療費と器物破損の修復費、その他の被害額が加算され、破産するほどの請求をする必要があるのだ
それを、私の条件を飲むだけで良いといっている
それに対して拒否権などない!」
一言も言い返せないヒルト、ジェイクはため息混じりに深呼吸をし、ヒルトの肩に手を置く
