第11章 破滅の鐘
フランシスが部屋を覆っていた結界の一部を解いたことで
軽装備の兵士が一枚のスクロールを持って入ってきた
兵士をフランシスに頭を下げ、スクロールを渡す
兵士から差し出されたスクロールを手に取るフランシスは
数秒間だけ目線をスクロールに書かれた文字を追い、すぐに鼻で笑う
そして隣で控えていた兵士を手で振り払い
ここらから出ていけーーーー
そう、命令した
「なるほどな、奴はダミーだったようだ」
兵士が部屋から出て行くとすぐに結界を貼り直し
フランシスは呆れたように呟く
「先ほど、お前達と交戦して死亡した破滅の鐘の一人を魔術師が死亡解剖した結果の内容だ
目を通しておけ」
持っていたスクロールをジェイクの前に差し出し、フランシスの話を聞きながらその内容を読んでいくジェイク
「ーーーーこれって・・・」
「そうだ。
破滅の鐘は熟練された訓練から屈強な肉体を持つことは必然。
そして何かしらの能力を保有しているはずだが、あのドミニオンと呼ばれていた男は見た目だけ強化された仮のリーダー・・・
だからこいつが死んでも有益な情報は手に入らない」
「大元は別にいるってことか」
「あぁ・・・だが、奴らが根城にしてる場所がわかった」
魔術刻印を机に描き、その上にジェイクが持っていたスクロールを取り上げ、乗せた
刻印からは小さな炎が浮き上がり、すぐにスクロールへ移る
薄紙で作られていたスクロールは瞬く間に燃え上がり、更に炎は勢いを増した
「世界を構築する五大元素のうちの一つ、炎を使用した魔術だ
これならお前の相性といいだろう」
「相性って、何する気なんだ?」
「紙の地図で行き先を教えても分かりづらいだろ?
そういう時は、こうするのが一番早い
右手を出せ」
「・・・?」
恐る恐る手を差し出していくジェイクの右手を
半端強引に掴み、刻印の炎の上に置く
「っ、おい!?」
燃え盛る炎の中に無理矢理手を置かれた事で反射的に力を入れて拒絶しようとするジェイク
だが、それよりもフランシスの力は強く、炎の熱さではない圧迫された痛みが腕から感じる
「安心しろ、この炎は傷つけるためのものではない」
「!」
炎の中にある右手は火傷一つせず、平然としていれた
「炎よ、例の場所を記したまえ」
勢いよく燃え上がっていた炎はフランシスの声に呼応し
その魔力はジェイクの腕の中へ吸い寄せられていく
