第11章 破滅の鐘
「わかった、フランシスさんの要求をのむよ」
(どの道残された道はこれだけだ)
ジェイクは心の中で呟いた言葉を口から漏れないように飲み込み、錆びた懐中時計をじっと見つめた
「・・奥さんを殺したのは破滅の鐘のどいつなのか知ってるのか?」
「確実ではないが、恐らくあのガウンという大男だ
私の妻は高度な魔術を使用できる魔術師だったからな
不意打ちでもリリースや他の能力者の亜人などには倒されん
だが、結界術に長けたガウンであれば一撃で敵を仕留める事ができる」
結界ーーーー
その言葉にジェイクは一つ確認しておくべき事を思い出す
それは飛行船上で戦い、途中で姿を消されたクライヴの事だ
「ガウンの結界はどんな奴でも閉じ込めれるわけじゃないだろ?
フランシスさんが知ってる事、教えてくれ」
「・・奴の・・ガウンの結界は循環型結界術だ」
「循環型結界術?」
「結界には多くの種類があるがその中でも3つの種類に分かれる
敵を拘束するための封印型結界術と、外部からの攻撃を一切受け付けさせない防壁型結界、そして敵を自身の精神世界に取り込んでその魂と魔力を己のものにする循環型結界術。
ガウンの結界に取り込まれれば最後だ
その魂と魔力が尽きるまで結界からは抜け出せない」
「例えその捕縛者がガウンより魔力が上でもか?」
「あぁ。
単純に魔力が高いだけでも抜け出せない
循環型結界から抜け出すには内側な隠された鍵を暴く必要があるが、生者にはわからないようになっている
故に一度死ななければ抜け出せない・・死者が味方につけば話は別だがな。
何か気がかりなことでもあるのか?」
(死者が味方・・・ーーーーー
クライヴは体の中にかつての部下、闇の騎士の魂を宿してる
過去に闇の神によって殺され、監獄に落とされた騎士の魂は死者同然だ
それと協力すればガウンの結界から抜け出せる可能性もあるってことか)
「インドリームではないけど俺たちの仲間がガウンの結界に捕まってるんだ
そいつと合流すればある意味、事態は変わるんだけどな・・まぁいいや、この事はまた考える
まずは破滅の鐘・・あのリリースとガウンを仕留めることに協力する」
「交渉成立だな
では、インドリームの身柄は保証しよう」
フランシスは満足そうな笑みを浮かべ、指をならす
「入れ」