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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




胸の前で組んでいた腕は胸ポケットの方へのばし、ヒビが入った懐中時計持ち出し、机に置いた
金色に装飾されていた表面は所々錆び、色褪せており、中の針は5年前の日時で止まっている

蓋の裏側に刻印されたペガサスは五つ星の旗を掲げ、星の中にはルビー、エメラルド、サファイヤ、ダイヤモンド、シトリンの順で宝石が埋め込まれていた

「その懐中時計、第5階級の魔術師のみが着用を許された特別な物だよな?
どうしてあんたがそれを?」

「私の亡き妻の遺品だ」
「なるほど、どうりで自警団の団長が魔術を使えるわけだ」
「あぁ。
妻は第5階級の魔術師であり、我々夫婦は破滅の鐘の協力者だった
だが、妻は破滅の鐘の秘密を知ってしまったために消され、私の元にこの懐中時計と妻の血肉がこびりついた鐘を送りつけた」
「・・奥さんの事が原因で、協力者をやめたのか」
「お前にとっては考えられない事だろう
だが、たった一人の愛する者を殺められた人間は一切の信頼を無くす。
そして、そんな奴らと歩みを共にすることは許さないのだよ
だからこそ、私は奴らを内側から潰すためにお前をここに呼び寄せた」

フランシスの話す内容にジェイクは疑う余地がなかった
根拠とる証拠はないが、その瞳は間違いなく憎しみと目的を持った人の負の感情が現れていた
かつて世界の裏で暗躍していたジェイクが何度も見てきたものだ

「ただ協力してくれってわけじゃないよな、フランシスさん」
「勿論だ。
これは取引だ、ジェイク・バルシウス
私の条件は今回の騒動を起こした破滅の鐘の抹殺。
報酬はインドリーム全員の釈放と街で起こした罪を無罪とする
勿論、元凶となる破滅の鐘を抹殺した暁にはその首を私に差し出すことで今回の犯人を倒したとなり、住人全員に平安が広がる事を伝えれる
住人の怒りはインドリームにではなく、死んだ破滅の鐘へ変わり、お前達は晴れて心置きなく旅を続けれるだろう」

フランシスから提示される内容はジェイクにとって悪くはないと話だった
理由はどうあれ、ヒルトが仲間を守るために力を使いすぎ、街に被害を出してしまったのは事実である
常識的に考えれば怒りの矛先はインドリームに向けられ、最悪な事態になれば世界を救う者という言い伝えはなくなり
厄介ごとを起こす疫病神という噂が広がる
そうなる前に今回の件を早急に終わらせる必要があった




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