
第11章 破滅の鐘

ドミニオンから言伝にジェイクは聞き流しはしなかった
「あいつから?
けどあいつ・・話すことすらままならないんじゃ・・」
「悪いが俺にはその人の名は伏せられていたし、顔も仮面で隠されていたから君が思っている人と同じかはわからない
だが、見た目は君と同じくらいの歳ではないかな」
「ーーーーそうか」
ジェイクは両手に手甲を装着させ、ドミニオンに前に立つ
頭差に倒れたままのドミニオンはジェイクと目を合わせると
次に何が待ち受けているのか悟った
氷のように冷たい瞳で見下ろすそれは炎のインドリームとは別人のものだ
火族としては相応しい瞳であるが、世界を救う者とはかけ離れている
そして振り下ろされる手甲には炎が纏わりつき、無抵抗状況のドミニオンであれば即死する勢いだった
最後にドミニオンは不気味な笑みを浮かべながらジェイクを見つめて息を引き取った
鈍い男が辺りに響くのと同時にジェイクの手にはドミニオンの返り血が吹き飛ぶ
冷たい目で返り血を見つめるジェイクは静けさが包まれる町の中で
数人の気配を感じとる
「足音は6、10・・いや、15か
金具の音からして軽装備の男でこの町の自警団か」
ジェイクの読みは当たり、銅鉄のプレートを胸や腰や腕に装着させた兵士が駆けつけ、ジェイクを中心に囲ってライフル銃をかまえる
「両手をあげ、頭につけてその場に座れ!」
「・・・はいはい」(この町の自警団か。それにしても都合よく駆け寄ってくるってことはこいつらも破滅の鐘と繋がってるということだな)
ジェイクは空回りな返事を適当にしながら兵士達を睨みつけて試行錯誤していた
(ここでヒルト達を連れて逃げてもいいけど
それじゃあユリエフが納得しないだろうな
裏では繋がってるとはいえ、魔族でもない人間を傷つけて逃げるなんて・・)
「おい、さっさと座れ!」
一人の兵士がジェイクの膝を後ろから蹴りつけ、頭を抑え込む
「っ!」
半強制的に座らされたジェイクは中央にいた男と目を合わせられるように髪を掴まれる
「私はこの町の自警団の団長を勤めているフランシスだ
さて、貴様の名を聞こうか?」
うすい金髪は短くて切りそろえられており、顳顬から刈り上げ
ジェイクを見下した青い瞳を持つ男は中肉中背であるが、腰に備えている剣は魔法が施された特殊な魔法武器
他の者と明らかに異なる装備からして団長ということに嘘偽りは感じない
