第11章 破滅の鐘
窓辺から見えるのは快晴の空ではなく
飛び交う鳥達ーーーー
人々が騒がしく逃げてくる
商店街から見える岩の唐突石は明らかに異様な光景であり
同じ旅をしていたインドリームにとってみれば誰が何をしているのか理解できた
宿から見える光景に全員の身の毛が立つ
「ヒルト君、あの岩はっ・・」
「あぁ、間違いない
イリヤのだ!
あそこは商店街の方だな」
ヒルトは窓を、開けて身を乗り出す
風はヒルトの動きに合わせて勢いを増し、全身を包んでいく
「街中であんな大技を使うなんて、ただのトラブルじゃない・・
ユリエフ、ライセイとジェイクをお願いできるか?」
「任せて下さい
アランさんは私の身を案じてヒルト君を残しましたが、今はイリヤさんとアランさん達を優先してください!」
ベットに横たわるライセイの治癒を続けるユリエフは既に体力が回復しており、万全な状態であった
傷は癒えたがまだ回復しきっていないライセイとジェイクは
即戦力にならない事に歯痒い思いを抱きながらヒルトへ全てを託す
「ヒルト、あいつらを頼む!」
ライセイの言葉にヒルトは声で応えるのではなく
手を振り、了解した事を伝え、風に乗っていく
風はヒルトを上空三十メートルまで上げ、そのまま勢いよくイリヤ達の方角へ直進させて飛ばしていく
ヒルトの姿は数秒後には消え、宿には不安と静寂が包まれた
「・・・」
ジェイクはふらつく体を起き上がらせ、ベットから起き上がり部屋から出ようとする
「どちらへ行かれるのですか?」
「・・用をたしに行ってくるだけだよ」
「あ、ジェイク君」
ユリエフはジェイクが待たずに部屋を出て行き、階段を降りていく姿を見送るが、足取りがふらついてることから介抱するために追いかけようとするが先にライセイに呼び止められる
「すぐに戻ってくるから、大丈夫だぜユリエフ」
「そ、そうでしょうか
今のジェイク君はとても不安定に感じたのですが」
「男の用足しなんてすぐ終わるもんさ
それより、今はユリエフがこの宿から動くことが危険だろ」
「そうですが・・」
ユリエフは冴えない表情で部屋の中で待つことにした
感じる胸騒ぎは気のせいであってほしい
そう、心の中で祈りながらーーー。