第11章 破滅の鐘
イリヤがいる先へ視線へ向けると片手から血を流しながら立ち尽くし、リリースが腰につけていた拳銃をイリヤの額に当てている瞬間だった
「っ・・イリヤッ!」
アランは駆けつけようとした
だが全身の力は抜け、その場に膝まづいた姿勢へなる
「なんで・・体が・・痺れる?!」
すぐに先の男達が注射器で入れた液体が原因と気づくが、既に手遅れだった
そして背後から忍び寄るもう一人の男からの襲撃すらも気づかず、そのままアランは後頭部を銅器のような塊で殴られ、その場に倒れる
「ーーーリリース、すぐにそのインドリームを仕留めろ」
アランの返り血を浴びた銅器を片手に持つ男は
短い茶髪をセンターで分け
肩には東洋から伝わる鎧の大袖と脚には脛当てを装着させ
黒と赤を基調とした着物を着ている
「ボス、ドミニオン
こいつで餌が釣れないかな
他のインドリームをおびき寄せるのにてっとり早いよ」
「それは不要だ、リリース
計画は順調に進んでいるからな」
「あなた達、さっきの奇襲の時のっ・・・!
どうしてここが?!
それに・・」
イリヤは一つの謎と同時に町の異変に気付く
先まで賑わっていた町は静寂に包まれ、店を残したまま人だけが消えている
家々の窓は固く閉じられ、隙間から覗いているようにも見えなかった
そして、陽は登る正午、潮風はなく、無風状況
港町ではあり得ない状況だった
「まさか、この町はーーーー」
「あんたは知ったところで無意味だよ
何故なら、ここで死ぬんだから!」
リリースがイリヤへ突きつける拳銃の引き金を引こうとした
だがイリヤは空かさずリリースの足元の大地を操り
地面は唐突に突き上がり、石畳は砕けながら
リリースを空中に浮かす
「!」
反動で引き金をひくリリースだったが、その弾はイリヤへ届く前に水に包まれ、その場で停止する
「水よ、はじけろ」
血を流したまま倒れるアランは必至の声で力を使い
銃弾からイリヤを守った
「ボス!
そいつ生きてるよ!」
「わかってる、リリース」
意識が朦朧とするアランは目の前の状況についていくことに必死であり
背後から刀を振り下ろそうとしているもう1人の敵には気づいていなかった
「アランちゃん、後ろっ!」
イリヤの声は確かにアランへ届く
だが、アランが振り向く時、刀はすぐ目前まで振り下ろされかけていたーーーー
