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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘



「みてみて!
美味しそうな食材がならんでるよ、アランちゃん!」
「本当ね、どれも魅力的だけど
ここは海鮮売り場・・ユリエフが言っていた簡易的な食材とは離れてるし、果物売り場へ行かない?」
「んー、偶には贅沢してみたいな」

「そんな子供みたいなこと言わないで」

ふてくされた表情で反論するイリヤを
アランは呆れた表情で背を向け、話した

イリヤは先へ進むアランを追いかけ、走ろうとした瞬間
左手を掴まれ、咄嗟に振り向く

「みーつけた」

赤い髪は返り血を浴びたように真紅であり
イリヤと同じ程の小柄な少女
その表情は狂気に満ち、獲物を捕らえた捕食者そのものだった

「っ!」

イリヤはその正体が何者かすぐに理解できた
忘れるはずもない
つい数時間前に襲撃し、仲間に重傷を負わせた本人
破滅の鐘、亜人リリースだ

掴まれていた腕を振り払おうとするイリヤ
だがリリースの力は強く、すぐに逃げることが出来ない

「離してっ!」

大声で叫びながらイリヤは片手の腕に岩石を纏わせ、躊躇なくリリースの頭部を殴ろうとする

リリースは振るわれる岩石の拳を避けることなく目で追うだけだ
亜人とはいえ、魔族でもない者を殴ることに躊躇するイリヤは
僅かな迷いから力を緩める

その隙を破滅の鐘は見逃しはしない

物陰から隠れていたリリース仲間が重火器を使用し
イリヤの岩石を撃つ
被弾した岩石は無残に打ち砕かれ、衝撃でイリヤの腕は破裂し、血が吹き出る

疑いたくもなる事態にアランは大声でイリヤの名を呼び
駆けつけようと足に力を入れ、一歩踏み込んだ瞬間
周辺に立っていた街の住人が突如襲いかかり、アランの腕を掴み、太ももの表面に注射器を打つ

「っ?!」

注射器の中から透明な液体が注入されていく痛みは
体が異物を拒絶している悲鳴そのものだった

アランは水を何処から出現させ、刺さった注射器を包み、水流の力で抜き取る
アランの能力に驚き、拘束していた者達の力が僅かに弱まる
すぐに腕に力を入れ、回し蹴りで男達を倒していく
倒れた男が達が上がらないよう、一人一人の頭部に水を覆わせ、無呼吸状態へ追い詰める
息が出来ないことでもがき苦しむ男達の抵抗する力が弱まり、気絶寸前でアランは水を解除し、ただの人間達であることを確認した

「なんで、ただの人間が?
・・いや、そんなことよりも、今はイリヤのことをっ!」
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