• テキストサイズ

IN DREAM2

第11章 破滅の鐘


「1,000ギルだよ、お嬢ちゃん」
「えっ、それは高いよ・・・」
「はっはっはっ
お嬢ちゃんがいう通り、これは宝石じゃからな
代わりにとは言い難いが、これをやろう」

商人はポケットから白く輝く水晶玉を取り出し、イリヤへ渡す
拳よりも小さな水晶玉は陽の光を当てることで更に輝きを増す

「ただの水晶玉じゃが、お嬢ちゃんが可愛いからな・・
金はいらんよ」
「本当?!
おじさんありがとう!」
「はっはっはっ!
元気の良いお嬢ちゃんだな
ところでお前さん達はどこから来たんだ?
観光か?それとも旅人かな?」

気前のいい商人の問いは何気ない内容であり、誰が聞いてきてもおかしくないものだ
水晶玉を無償で差し出した代価として相応しくないと言えるほどのものである
だからこそ、イリヤとアランは疑うことなく躊躇なく答える

「イリヤ達はインドリームだよ
ここにはちょっと寄ってみたんだ」

明るく無邪気に話すイリヤは水晶玉を片手に握りしめながら
商人と話す
「そうかそうか、なら、ここから南に行った場所が食材の商人が多い
美味いもん食って、立派に成長せい」
「うん、おじさん、ありがとう!
行こう、アランちゃん」


宝石店を後に世話向け、歩いて行くアランとイリヤを見送る商人の目は微笑ましいものではなく
獲物を追う狩人に変わっり、袖に隠していた小さな宝石を口元へ近づける
「奴らが現れました。
場所はポーラル町8丁目、β商店街」

「インドリームがそっちに来たってことだね?」

袖の中に隠していた通信用の宝石から
明るく元気な声で答えたの少女のものだった

「はい」
「追跡用の宝石は渡したのかな?」
「勿論です、リリース様」
「へっへーん、順調じゃん!
因みに、赤髪の少年は一緒にいた?
バンダナを巻いてる長身の男だよ」
「・・赤髪の少年ですか?
いえ、私の前には現れていません。
先は青髪の二つくくりの女性と、深緑の長髪を一つに束ねた土族の少女のみです。」

商人の答えにリリースは暫く沈黙し、微かな舌打ちが通信用の宝石の奥から聞こえた気がした
先の明るい応答とは比べものにならない程だ

「・・ガウンと2人のインドリームを追う
お前は他の仲間と情報を共有しておいて。」
「御意」

通信用の宝石からリリースの声は消え、商人は店をすぐに畳んだ
これからポーラル町には嵐が襲いかかる事が分かっていたからだ
/ 821ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp