第11章 破滅の鐘
ーーーーーポーラル町
この島は特殊な形式であり、世界にもあまりみかけない港町だ
主に冒険者や魔術師、商人等の交流により繁栄し、独自の文化を発展させ、人口200万人に及ぶ
だが国として建国されることはなく、一つの町として100年間あり続けていた
責任者は町民から選ばれた町長になり、それは五年周期で選挙によって交代している
冒険者や一般市民から成り立つ自警団は毎年度名のある冒険者や魔術師から技術を学び、力を鍛えていた
オレンジ色の煉瓦で作られた屋根は教会以外統一されており
陽が照りつける港ではとても色鮮やかに映し出される
「ひとまず、宿の空きがあってよかったわね」
ため息混じりで話したのは宿無しから部屋の鍵を受け取ったアランだった
銅鉄で作られた細い鍵を二本持ち、先頭を歩く
その後方から足取りは遅いがなんとか自力で歩こうとするジェイクとライセイ
木で作られた階段の軋む音すら緩やかに聞こえるほど、足音は軽かった
「2人とも、大丈夫?」
ライセイの背中を支えるように後から歩くイリヤは不安気な表情で声をかけるが、ライセイは片手を軽く振るだけの反応しなかない
四階建ての宿屋で空き部屋が二階でよかった
負傷した仲間を連れていれば誰でもそう思うだろう
傷を負っている者からしても、二階以上上がるのは体に負担がかる
そして暗殺者などの襲撃は二階が一番狙われにくく、インドリームにとっては好都合だ
敵が襲って来た場合、戦わないわけにはいかないが
それでも人気の多い街中での戦闘は避けたい
当初の予定では海に近い宿を探し、戦闘が起きれば
海上へ誘導するはずだが、海辺の宿は既に満席となり、渋々町の奥に位置する民間人が経営する宿へ泊まることになったインドリームだった
「男性用の部屋と女性用で分かれているようですが、
とりあえず荷物だけは分けて置いて、2人の治療の続きをしましょう」
ユリエフは男性用の部屋にあるベットにライセイとジェイクを寝かし、両手から光を作り出し、治癒魔法を生み出す
深手を負っていたライセイから治癒されていく中、ジェイクは窓から見える空を眺めながら、ポケットに入れた鐘を掴む
(あいつらが動き出したのはまずいな
この町も追っ手が来てないとは言い切れない
それにあのリリースとガウンとかいう亜人の能力は危険だ
クライヴも行方不明だし、どうやって対抗すれば・・)
